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「何でもは知らないよ――何にも、知らない」
「…………？」
あれ？
なんか、いつもの台詞と、違う？
しかしその疑問を口にする前に、
「春休みに俺と会ったときには、もう、Aちゃんは吸血鬼――だったんだよね」
と、天宮は言ってきた。
「うん。正にその渦中、もどきでもなんでもない、正真正銘、真性のリアル吸血鬼だった頃だね。
はは、じゃあ、お前も案外、私に魅了されちゃってたりして――痛い！」
私の胴に回された天宮の腕が圧力を増した。
これはサバ折りという相撲の技じゃないのか!?
「いいやAちゃん。サバ折りは正面から掛ける技だし、相手に膝をつかせるのが目的であって、内臓を潰すことを目的とはしてないよ」
「そうなのか、物知りだな……って、内臓を潰す!?」
今天宮が相川みたいなこと言った！
男は怖い！
この上、でもこの技、背中に大きなクッションがあるからそこまでの威力はないという事実にまで天宮が気付いてしまったら、私は一体どうすればいいんだ!?
というか、これは私が悪かった。
状況も弁えず、不謹慎なことを言った。
現在、天宮の心理状態は、かなり不安定なはずなのだ――中途半端に記憶が戻ってしまった所為で、その欠落とその喪失を埋め合わせようと、色んな、本来考えなくてもいいようなことを、考えてしまっているはずだ。
まともに頭が働かなくても無理はない。
さっきは、そんな状況にありながらも、私の出席日数や文化祭の準備などを気に掛ける、天宮の計算高さに感心したが、しかし、よくよく考えてみれば、私に歌詞さんの住む廃墟、学習塾跡への道案内を頼みたいだけだったなら、それはメールのやり取りだけで十分なのだ。
道順をメールで送って欲しいと要請するだけでいい――何も私に学校をサボらせてまで、遠く離れた公園にまで、呼び出すことはないのである。
ありがたいと思う。
なのに、呼び出した。
それは、頭が回らなかったからじゃない。
不安だったからだろう。
私でも時間をかければわかることに、天宮がすぐに気付かないわけがない――だから、気付かなかったわけではない。
つまり、一人で怪異に立ち向かうことに、天宮はきっと、怖気づいたのだ。
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灰猫(プロフ) - きゆかさん» 初コメありがとうございます！ヮー！！更新遅くてすみません……！！これからも読んで頂けると幸いです！！ (2022年9月7日 21時) (
レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
きゆか(プロフ) - 初コメ失礼します、更新うれしいですありがとうございます…！！いつも楽しく読ませていただいてます！これからも応援してます✨ (2022年9月7日 20時) (レス) @page48 id: 533f2abba6 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - realさん» わー！いつもありがとうございます！！これで化は終わりなのでせめて最後まで頑張ります！！ (2022年8月15日 0時) (レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 毎回コメント失礼します。あ、めちゃくちゃ待ってましたキャットターン()今回も最後まで楽しませて頂きます！ (2022年8月10日 19時) (レス) id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年8月2日 17時
