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ホッチキスを振りかざし、最初、接触してきたときの相川は――間違いなく私を前者と看做していたのだろう。
深窓の子息の仮面を脱ぎ捨て、その恐るべき本性を私の前に晒したのは、彼にとって、私がただの、己の秘密を知った『敵』だったからに過ぎない。
でも今は。
私は彼に、そこまで信頼を置かれているのだろうか。そうだったとして、しかし、それだけの資格が、私にあるのか――
「父親のことがあるからね。それに――病気のこともある。あの子は人を愛する側の人間だけど――愛し方がわからないのよ」
相川母は、独り言のように言う。
よく考えるとそんな突飛なことは言っていないのだが、如何せん声が格好いいため、とても詩的なことを言われているような気分になる。
「阿良々木さん。あなたはそんな真冬に、よく対応していると思うわよ」
「できてると思いますか……？」
いちいち、ちゃんと傷ついてるんだよ？
切り刻まれてる気分だよ？
心から血が流れるなら、とっくの昔に出血多量だ。
「いつもあんな調子ですからね。私を凹ますためだけに、お母さんを連れ出してきたんじゃないかとさえ思いますよ」
あ。
つい、お母さんって言っちゃった。
じゃ、じゃあ、こうなると私はあの台詞を言われるのか……？
伝説の、『あなたにお母さんと言われる筋合いはない！』を！
「そんなことはないわよ」
言われなかった。
ジェネレーションギャップだ……。
「まあ、私に対するあてつけというのは、あるかもしれないけど」
「あてつけ……？」
……ん？
ああ――そうか。
普通に考えてみれば、実の息子が後部座席で初対面の女といちゃついているという図は、母親としては気分のいいものではない――はずだよな。
当たり前のことで、だからこそ、私はいっぱいいっぱいになったのだが、そこに嫌がらせの意図があるとすれば、私よりも、母親が相手……なのか？
「いや、そんなことないと思いますけれど……いくら、その、真冬くんでも、母親にあてつけなんて……」
「嫌われても構わない相手――だからね。私は」
相川母は言う。
「嫌われようが嫌われまいが、母親は母親だからね。
真冬の父親との醜い言い争いを、あの子の前では随分、繰り返していたから……仲のいい両親像なんて、今の真冬には思いつきもしないでしょうね」
「ああ――」
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灰猫(プロフ) - きゆかさん» 初コメありがとうございます！ヮー！！更新遅くてすみません……！！これからも読んで頂けると幸いです！！ (2022年9月7日 21時) (
レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
きゆか(プロフ) - 初コメ失礼します、更新うれしいですありがとうございます…！！いつも楽しく読ませていただいてます！これからも応援してます✨ (2022年9月7日 20時) (レス) @page48 id: 533f2abba6 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - realさん» わー！いつもありがとうございます！！これで化は終わりなのでせめて最後まで頑張ります！！ (2022年8月15日 0時) (レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 毎回コメント失礼します。あ、めちゃくちゃ待ってましたキャットターン()今回も最後まで楽しませて頂きます！ (2022年8月10日 19時) (レス) id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年8月2日 17時
