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「あれ」
そこで、相川真冬と出会った。
予鈴寸前――ではあるが、しかし彼の場合は私のように遅刻寸前というわけではない、相川は、いつでも、計ったように計算ずくで、一切の無駄なく、この時間に登校してくるのだった。
昨日のことがあったから、突然顔を合わせて、私は気恥ずかしくてちょっと言葉に詰まったが、そこはさすがは相川真冬、まるっきり平坦な態度、全くの無表情で、
「何」
と言った。
「Aちゃん、どこかに行くの？」
「ちょっとそこまで」
「何をしに行くの？」
「人道支援」
「へえそう」
取り澄ましたものだった。
さすがは相川真冬。
もう、私のことはわかっているようだ。
これも以心伝心――なら、いいんだけれど。
「いいよ。行ってらっしゃい、Aちゃん。
本来ならばあり得ないことだけれど、特別に情けをかけて、僕が代返しておいてあげる」
「四十人ぽっちの高校の授業で代返なんて、何の意味もないと思うけど……て言うかお前が怒られて終わりなような気がするよ」
「ちゃんとAちゃんの声色を使うから大丈夫だよ、任せておいて。
僕の声を担当している声優さんは優秀なの」
「声優!? この世界ってアニメだったの!?」
「『月崎を可哀想な目に遭わせる奴はこの私が許さないよ！ それがたとえお前でもだ！』。
どう、似てた？」
「似てないよ！ ちょっと期待しちゃったけど思いのほか似てなかったよ！
そしてそんな恥ずかしい台詞をわざわざピックアップしてリフレインするな！
チョイスに悪意を感じるぞ！」
「志麻くんに教えてあげたら泣いて喜んでいたよ」
「そんなくだらないことでいちいち後輩を泣かせるんじゃない！
今や月崎はお前だけの後輩じゃないんだぞ!?」
「『真冬くん……なんてカッコいいの。正に私の理想の人だよ。愛してる』。
どう、似てた？」
「似てないし、そもそもまだ言ってないだろうがよ、そんな台詞！」
「まだということは、これから予定があるのかな」
「……、…………っ、ある！」
なんて。
そんな馬鹿なやり取りをしている時間は圧倒的になかったのだが、それでも私は、焦るばかりの気持ちを十全に落ち着かせてくれた礼を、相川に言って、そこから更に駆け足で、自転車置き場へと向かった。
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灰猫(プロフ) - きゆかさん» 初コメありがとうございます！ヮー！！更新遅くてすみません……！！これからも読んで頂けると幸いです！！ (2022年9月7日 21時) (
レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
きゆか(プロフ) - 初コメ失礼します、更新うれしいですありがとうございます…！！いつも楽しく読ませていただいてます！これからも応援してます✨ (2022年9月7日 20時) (レス) @page48 id: 533f2abba6 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - realさん» わー！いつもありがとうございます！！これで化は終わりなのでせめて最後まで頑張ります！！ (2022年8月15日 0時) (レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 毎回コメント失礼します。あ、めちゃくちゃ待ってましたキャットターン()今回も最後まで楽しませて頂きます！ (2022年8月10日 19時) (レス) id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年8月2日 17時
