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「阿良々木さん。聞いているとは思うけど――私は絵に描いたような仕事人間でね。
真冬と過ごす時間なんて、ほとんど持てていない」
「はあ――」
真冬、か。
当然だけど、息子のことを呼び捨てにするんだな。
しかもそれに、とても自然な感じがある。
これが親子か。
「だから、そんな私に言われても説得力を感じないかもしれないけど――あんなに楽しそうな真冬は、久し振りに見たのよ」
「…………」
あんた、自分が何言ってるかちゃんとわかってるのか……？
自分の息子が同級生を苛めているの見て、楽しそうだったって言ってんだぞ……？
そこで、相川母は、「あ、えっと」と口ごもる。言葉を選んでいる風だ。
どうやら、相川母は、息子とは違い、口達者と言うわけではないらしい――むしろ、かなり口下手な方であるようだ。
「真冬の父親のことは、もう聞いているわね」
「……はい」
「じゃあ、真冬の病気のことも」
相川真冬の病気――病気という物言いでこそあるが、それはこの場合、例の怪異のことを指している。
蟹。
蟹の――怪異。
歌詞さんの協力によって、それはもう治った病気だ――しかし、治ったとは言え、それで済まされるような、程度の低い問題ではない。
家族にしてみれば、尚更だろう。
「まあ、それだけじゃないし――無論、仕事ばかりにかまけていた私の責任も少なからずあるけど……真冬はすっかり、心を閉ざした人間になってしまった」
「ええ知ってます」
よく知っている。
高校生活、ずっと同じクラスだったのだ。
一年次と二年次。
三年次の一ヵ月。
どれほど閉ざしていたか――私はよく知っている。
「その辺りのことについては、言い訳のしようがないわね――子供がやったことは親の責任だけど、親がやったことに、子供には何の責任もないんだから」
「責任、ですか……」
「心を閉ざした人間が、言いたいことを言いたいように言う対象は、二種類だけよ。
ひとつは、嫌われても構わない相手。もうひとつは――嫌われる心配のない相手よ」
「…………」
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灰猫(プロフ) - きゆかさん» 初コメありがとうございます！ヮー！！更新遅くてすみません……！！これからも読んで頂けると幸いです！！ (2022年9月7日 21時) (
レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
きゆか(プロフ) - 初コメ失礼します、更新うれしいですありがとうございます…！！いつも楽しく読ませていただいてます！これからも応援してます✨ (2022年9月7日 20時) (レス) @page48 id: 533f2abba6 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - realさん» わー！いつもありがとうございます！！これで化は終わりなのでせめて最後まで頑張ります！！ (2022年8月15日 0時) (レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 毎回コメント失礼します。あ、めちゃくちゃ待ってましたキャットターン()今回も最後まで楽しませて頂きます！ (2022年8月10日 19時) (レス) id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年8月2日 17時
