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春休み――私は吸血鬼に襲われた。
天宮が猫に魅せられ、相川が蟹に行き遭い、浦田くんが蝸牛に迷い、月崎が猿に願い、椎名が蛇に絡まれたように――私は鬼に襲われた。
髪を伸ばしたのは、そのときの傷を隠すためだ。
ヴァンパイアハンターでもなければキリスト教の特務部隊でもなく、同属殺しの吸血鬼でもない通りすがりのおっさん、軽薄な和服野郎、伊東歌詞太郎によって、その窮地からはとりあえず救ってもらったのだが――要するにはその後遺症である。
私の身体の回復能力は著しく高い。
「回復能力か……となると、試してみたいことがあるな」
「試してみたいこと？」
「おう。こう、正中線に沿ってチェーンソーやらで真っ二つにしたら、阿良々木が二人、できあがるんだろうか」
「猟奇的なことを考えるなあ小学生！」
ミミズじゃないんだから！
そんなうまいこといくか！
「冗談だって。お世話になった阿良々木に、そんなことをするわけねえじゃねえか」
「そうか……そうだよね。私達、友達だもんね」
「ああ。八つ裂きにしても物足りないのに、その程度で済ませるだなんてとんでもない」
「………………」
そんなにけろっとした奴でもないらしい。
しっかり恨まれているようだ。
「今に見ていろ、阿良々木。
今度、自由帳に阿良々木Aという名前を、赤鉛筆で書いておくからな」
「な、なにおう!? そんなことをされたら早死してしまうじゃないか！」
「それだけじゃないぞ。
今度はおれが阿良々木に後ろから近づいて、人差し指で背骨の上を上から下へすーっとなぞってやる」
「こ、この外道が！ 下から上になぞり直してくれとお願いしろと言うのか!?」
「そんなのはまだまだ序の口だ。
可哀想に、おれを怒らせるからこういうことになるんだぜ。
阿良々木は真の恐怖というものを、味わうことになるだろう」
「ふっ……」
そこで笑い返す私。
「それはこっちの台詞だな、浦田くん」
「はあ？」
「真の恐怖を知るのはお前だと言っている。
もしも本当に私の名前を赤鉛筆で書いてみろ……私は暴力に訴えるぜ！」
赤鉛筆で名前を書かれたら早死するからという理由で、子供を暴力で脅す高校生がいた。
なんと私である。
「ごめんなさいと謝れば、今なら許してやるぞ」
「ふっ……」
しかし、さすがは私の永遠のライバル。
浦田くんもまた、不敵に笑うのだった。
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灰猫(プロフ) - きゆかさん» 初コメありがとうございます！ヮー！！更新遅くてすみません……！！これからも読んで頂けると幸いです！！ (2022年9月7日 21時) (
レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
きゆか(プロフ) - 初コメ失礼します、更新うれしいですありがとうございます…！！いつも楽しく読ませていただいてます！これからも応援してます✨ (2022年9月7日 20時) (レス) @page48 id: 533f2abba6 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - realさん» わー！いつもありがとうございます！！これで化は終わりなのでせめて最後まで頑張ります！！ (2022年8月15日 0時) (レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 毎回コメント失礼します。あ、めちゃくちゃ待ってましたキャットターン()今回も最後まで楽しませて頂きます！ (2022年8月10日 19時) (レス) id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年8月2日 17時
