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自分の持ち札を全部晒して相手に決断を委ねるような、ある種の恫喝外交みたいな方法論を、惚れた腫れたの微妙な関係内で、使うべきだとでも思ったのだろうか？
情緒もへったくれもありゃしない。そんな迫り方をしたら、百人中九十九人までが、間違いなく引く。
それこそ怖いよ。そんなの、恋愛経験皆無の、私にだってわかるぞ……。
まあ。
これが、私が九十九人を除いた残りの一人だと見抜いた上での戦略なのだとしたら――それはもう、帽子を脱ぐしかないけれど。
やっばい。
ものすごく萌える。
洒落にならないくらい。
本当なら、このまま、勢いに任せて、相川に抱きつきたいくらいだったけれど――そんなことで相川を失うのは、私にしたって御免だった。
晒せるような手札は、そもそも私にはないけれど……、相川との関係は、とりあえず、こんな感じでいいように思えた。
いらないわけじゃないけれど。
一緒に寝転がって星空を見上げる。
そんな恋人同士で、私達はいい。
プラトニツクな関係――だ。
「ねえAちゃん」
相川が平坦に言う。
「僕のこと、好き？」
「好きだよ」
「僕も好きだよ。Aちゃんのこと」
「ありがとう」
「僕のどういうところが好き？」
「全部好きだよ。好きじゃないところはない」
「そう。嬉しいよ」
「お前は、私のどういうところが好きなの？」
「優しいところ。可愛いところ。僕が困っているときにはいつだって助けに駆けつけてくれる王子様みたいなところ」
「嬉しいよ」
「そう言えば」
と、今気付いた風に言う、相川。
「あの下種は、僕の身体だけが目当てだったから――僕の唇を奪おうとは、全くしなかったね」
「ふうん？ どういうこと？」
「あの下種は、そういった素振りは一切見せなかったと言っているんだよ……Aちゃん。だから」
そして。
相川は照れも衒いもまるで滲ませず、言った。
「キスをします」
「………………」
怖い。
怖いよ、真冬くん。
「違うな。こうじゃない。キスを……キスをして……いただけませんか？
キスをし……したらどうな……です……」
「………………………」
「キスをしよう、Aちゃん」
「最終的に、そう落ち着くか」
妥当と言えば妥当なところだった。
らしいと言えば、これ以上なくらしい。
こうして――今日は記念すべき日になった。
私たちにとって。
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灰猫(プロフ) - きゆかさん» 初コメありがとうございます！ヮー！！更新遅くてすみません……！！これからも読んで頂けると幸いです！！ (2022年9月7日 21時) (
レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
きゆか(プロフ) - 初コメ失礼します、更新うれしいですありがとうございます…！！いつも楽しく読ませていただいてます！これからも応援してます✨ (2022年9月7日 20時) (レス) @page48 id: 533f2abba6 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - realさん» わー！いつもありがとうございます！！これで化は終わりなのでせめて最後まで頑張ります！！ (2022年8月15日 0時) (レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 毎回コメント失礼します。あ、めちゃくちゃ待ってましたキャットターン()今回も最後まで楽しませて頂きます！ (2022年8月10日 19時) (レス) id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年8月2日 17時
