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「僕自身は、ここに来るのは久し振りだけれど……、あの子には、いつか、話した覚えがあるよ。
ふむ……、そうだったんだ。志麻くんがね……」
「らしくないと思うか――とか言ってたな、そう言えば。そういう意味か。
可愛い後輩じゃんか、全く」
「そうだよね。やっちゃいたいくらい」
「何を!?」
ああ……そう言えば、ついでにもう一つ、思い出したぞ。初めて相川の家を訪ねた日のこと……、私、相川を相手に、私は天文学に詳しいとか何とか、大法螺を吹いたことがあったな。
月の模様がどうとか言って……生半可な知識を披露して、相川にひっくり返された記憶がある。
うわ、恥ずかしい。これは忘れててよかったな。そりゃひっくり返されるさ。
私、天文台なんか来るの、これが初めてだ。
「……しかし、誰もいないんだね」
「今は取り立てて観測の時期じゃないもの。平日だしね。
来ている人は、全員、あの天文台の中でしょ」
「あの？」
顔を上げようとして、押さえつけられる。
ていうか、頭皮に爪を突き立てられる。
「ねえ、相川……お前今、絶対、自分で考えている以上に酷いことをしてるんだぞ？」
「そうかな」
私からの親切な諫言に、しかしどこ吹く風の相川真冬。
「僕の白魚のような手で頭をつかまれるなんて、むしろ幸運の部類に入るんじゃない？」
「白魚は白魚でも、お前の場合はホホジロザメって感じなんだけど……グレートホワイトシャークね」
「わあ嬉しい。僕の頬が透き通るような白さだなんて、Aちゃんもなかなかお上手だね。
優しくしてあげたくなっちゃった」
頭皮に爪が更に食い込んだ。
地味だけど効果的な痛みだった。
本当にホホジロザメか、こいつは……そう言えば、あの生物の洞のような感情を感じさせない眼は、相川の無表情を如実に連想させるよな。
そうか、私の彼氏はホホジロザメなのか……。
まふゆシャーク。
「要するに、天文台があるんだね？」
「うん。大型の反射望遠鏡があるよ」
「ふうん。そのすごさってのは、ちょっとわからないけれど……そこに這入るの？」
「いいえ」
相川はあっさりと首を振る。
「入場料がかかるもん」
「…………」
「僕は貧乏なんだよ」
胸を張って言われても……。
まあ、そうだったな。
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灰猫(プロフ) - きゆかさん» 初コメありがとうございます！ヮー！！更新遅くてすみません……！！これからも読んで頂けると幸いです！！ (2022年9月7日 21時) (
レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
きゆか(プロフ) - 初コメ失礼します、更新うれしいですありがとうございます…！！いつも楽しく読ませていただいてます！これからも応援してます✨ (2022年9月7日 20時) (レス) @page48 id: 533f2abba6 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - realさん» わー！いつもありがとうございます！！これで化は終わりなのでせめて最後まで頑張ります！！ (2022年8月15日 0時) (レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 毎回コメント失礼します。あ、めちゃくちゃ待ってましたキャットターン()今回も最後まで楽しませて頂きます！ (2022年8月10日 19時) (レス) id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年8月2日 17時
