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「どうするかって？ Aちゃんの中の判断基準、価値基準を揺るがせておくんだよ。
そうすれば志麻くんのことなんて、むしろ純粋無垢な男の子に見えてくるよ」
そう言って、相川は、そっと身体を私の方へと寄せてきて、声を潜めるどころではない、露骨な内緒話をするように、私の耳元へと、その唇を近付けてきた。
手で口元を隠すようにして。
「――××××」
「…………！」
ぐあっ……！
こいつ、今、何て言った……！
「××××を××××に××××するから××――××で××××――×××に××――」
「う……うう！」
相川真冬……
な、なんて恥ずかしくもいやらしいことを！
××に××だと!?
まさかそんな組み合わせが!?
しかもあえて平坦で事務的な口調で！
信じられない……ただの単なる言葉だけで、人はこうも情欲を刺激されるものなのか!?
「や、やめ――」
う……駄目だ、大声は出せない！
すぐ前に相川母がいる！
不自然な動きを見せるわけにはいかない！
「×××――××で×××――」
「くっ……」
で、でも、耳元に、息を吹きかけられるようなくすぐったさもあいまって……おい、なんだこの状況！
恋人に太ももを撫で回されながら嫌らしい言葉を囁きかけられている――恋人の母親の前で――もうこれ、拷問みたいっていうか、明らかにただの拷問だろ！
私は一体何を白状したら、この拷問から解放されるんだ！
私は何も知らない！
本当に何も知らないんだ！
そうか……そういうことだったんだな、謎が解けたぞ、月崎のエ ロの師匠はお前だったんだな！
考えればわかりそうなことだよな、あれだけ相川から影響を強く受けている後輩なんだから……！
畜生、マジで私の中の判断基準、価値基準が揺るがされ、崩されていく……ああ、月崎はエ ロくない、月崎は全然エ ロくない……。
「はむ」
耳を噛まれたー！
唇で挟む感じ！
ＮＧＮＧＮＧ、それはもう完全なエ ロ行為だ！
「といった感じで」
平然とした仕草で、何事もなかったかのように、私から離れる相川。
「どうかな、Aちゃん」
「もう好きにしてくれ……真冬くん」
私はもう駄目だ。
決して私はこんなデートがしたかったわけじゃない……本当、私の期待とか幻想とか、一個一個順番に打ち砕いてくれるよな、お前は……。
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年7月24日 23時
