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そりゃあ嫌な訊き方をしたみたいだな。
校門のところで、天宮が、相川についてなんだか不自然な話の振り方をしてきたと思ったが、なるほど、あのやり取りにはそういう伏線があったわけか。
実力テストの結果については、昨日、あの本屋で、天宮には話したからな……しかし、相川の物言いはともかくとして、あれだけ世話になっておいて一言の報告もなしというのは、確かに礼を欠くかもしれなかった。それこそ天宮に相談した、大学受験のことがあるから、なんとなく言えてなかったんだよな……。
「何を言い惜しんでいるの。早く具体的な点数を教えて。
勿体ぶっているようだと、身体中の関節を全部反対向きに折り曲げて、なんだか逆に格好いいみたいな体型にしてあげるよ」
「その体型に格好いい要素はひとつもない！」
「格好悪い？」
「格好悪いなんてレベルの話じゃない！」
「(笑)《かっこわらい》？」
「笑えねえー！」
「さあ、ブリッジでしか歩けない身体にされたくなかったら、早く教えなよ」
「いや、関節を全部反対向きに折り曲げられたら、それどころじゃすまないから！」
死にます。
作業が終わるまでに五回くらい死にます。
「まあ、そうだね、もっと早く言っておくべきだったね。悪い悪い。
うん、思ってた以上の点が取れたよ。元々得意教科であったはずの世界史ですら、いつもより伸びてたくらいだった。お前のお陰だよ、ありがとう、相川」
「お母さん、Aちゃんがお母さんにお礼を言っているみたいなのだけれど、聞いてあげてくれないかな」
「ありがとう真冬くん！」
もう何がなんだか。
ともあれ、私は相川に、五教科六科目の、それぞれの点数を、詳細に告げた。
相川は「ふむふむ」と頷きながら、どの問題を間違えたのか、どこがわからなかったのかなどを、私から聞き出した。
……この男は、受けた試験の問題を全部憶えているのかと、ちょっと驚かされた。
まあ、私の勉強の面倒を見ながら学年七位の総合得点を取るような秀才だからな……実際のところ、その程度では驚くには値しないのかもしれない。
なんだか、ようやく、学生らしい会話だった。
これなら母親の前でも、安心してできる。
真面目さをアピールするならこの場面だった。
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年7月24日 23時
