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「あはは、相川くんといい月崎くんといい渉くんといい、最近Aちゃん、格好いい男の子と仲良くなってばかりだね」
「人聞きの悪いこと言わないでよ。相川くんといい月崎くんといい渉くんといいって、あくまでもその三人だけでしょうが。他にもいるみたいな言い方をするな」
「他にはいないの？」
「いないよ」
断言したが、これは嘘だ。
少なくとも、もう一人。
天宮翔太。
お前がいる。
「ん？ 何？」
「いや……」
かと言って、天宮相手に面と向かって格好いい男の子だなんて言ったら、ただのセクハラ扱いされて終わりだろうからな……そもそも、自分に不利になるような情報を、自ら提出する必要はない。
「ところでAちゃん」
「なに？」
「今日は何か用があるって言ってなかった？ だからあんなに急いで鍵を返しに行ったんだと思ってたけど。
……ひょっとして、Aちゃんの大事な用って、可愛い男子中学生とお喋りをすることだったの？」
「違う」
「Aちゃんのキャラ付け、どんどん軟派になっていくよね」
「違うんだ……」
それは私にとっても悩みごとなんだ……。
お前はわかってくれるはずだ。
「さっきはぼかしたけれど、誤解されたくないから説明しちゃうと、大事な用ってのは相川絡みだよ。照れくさいから言えなかっただけ」
「相川くん……ね」
んー、と微妙な表情をする天宮。
文化祭が目前に迫ったこの時期に、「病院に行くから」という一言と共に、何一つ準備作業を手伝わず定時に下校してしまったクラスメイトのことを考えるに、委員長として色々考えるべきことがあるのだろう。
無論、ちょっと前までならいざ知らず、今の時点では病弱でも何でもない相川のその言は大嘘なのだが、ひょっとすると、案外天宮のことだ、それが虚言であることも、見抜いてしまっているかもしれない。
ていうか、相川のそのキャラ付けも、いい加減限界が来ているような気もするんだよな……。
「面白い噂、教えてあげようか」
「なんだよ。面白くなさそうだけど、聞いてあげる」
「相川は阿良々木と仲良くなってから態度がおかしくなった」
「う」
「相川は阿良々木から悪影響を受けている」
「うう」
「とか」
「ううう」
なんだそれ。
噂？
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年7月24日 23時
