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「……ほんと、ごめん。」
良規「ええよ。謝らんといて？俺が勝手にしただけやし」
そう言ってニコニコ笑う正門くん。
本当に彼は優しい。
私は申し訳なくて、カバンの中を慌ててあさる。
そして、少し大きめのタオルを取り出すと、彼に差し出した。
「これ！！……よかったら、使って。」
良規「え、いや……申し訳ないよ。」
「……正門くんが風邪ひいたら困るし。お礼だと思って。」
良規「……じゃあ、ありがたく。」
正門くんは申し訳なさそうに受け取った。
「……じゃ、じゃあ！！ありがとう。気を付けて帰ってね。」
良規「うん。ありがとう。またな」
ニッコリ微笑んで、正門くんは来た道を戻っていく。
その姿をしばらく眺めていた。
すると、急にくるっと振り返った。
そして、こっちに向かって走って戻ってくる。
「ど、どうしたの？何か忘れ物……？」
良規「あ、ごめん……忘れ物ちゃうんやけど……あの、……また、Aちゃんに話しかけてもええ？」
正門くんは、荒い息をして私の目を見つめる。
私はビックリして、思わず黙ってしまう。
良規「……っあ、ご、ごめん！！気持ち悪いよな、え、えと……その、……」
「……いいよ。」
良規「……え、？」
ポカーンとした顔で驚く正門くん。
そんな顔に、思わず吹き出してしまう。
良規「え、ええの……？」
「……うん。全然。私でよければだけど。」
良規「……あ、ありがとう！！嬉しい！！」
正門くんは、少年のような笑顔で笑う。
良規「……じゃあ、また。……また、明日学校で！」
「……うん。また明日ね。正門くん。」
正門くんは、嬉しげに微笑むとまた、道を戻って行った。
その姿を、もう一度見送る。
優しくて、なんだかおもしろい人。
それが、正門くんへの第一印象だった。
「……なつかしい、」
写真立てを元の場所に戻すと、もう一度ソファーに座りなおす。
それから正門くんとちょくちょく話すようになり、それから交流は現在まで続いている。
“誠也「正門となんかあったん？」”
「…………」
正門くんは優しい。
私に対しても、誰に対しても。
ただ、彼は……優しすぎた。
窓の外の音に耳を澄ます。
雨は、まだ止むことを知らない。
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作者名：かるぼなーら | 作成日時：2024年3月25日 23時
