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Aside
「……」
大阪は雨が降っていた。
昨日の天気予報じゃ、今日は晴れだったのに……
ため息をつきながら、取りあえず家までの道のりをどうしのぐか考える。
まあまあの荷物を持っていて、さすがに傘なしはキツい。
ただただ強くなっていく雨に打たれるのはごめんだ。
チラッとコンビニを覗くけど、急な雨のせいか傘は売り切れていた。
「……走るか、」
いよいよ最終手段を身構えたところで、スマホが震えた。
「…………え、」
そこには、よく見慣れた名前が並んでいた。
良規『今どこ？』
良規「A……！！！」
駅内のベンチに腰かけてスマホをいじっていると、私の名前を呼ぶ声が聞えてきた。
「……正門くん、」
正門くんは、私を見るなりほっと安心したような顔になる。
そして、強く抱きしめてきた。
「！！？？ちょ、まさかどく……」
良規「……急に連絡つかんくなって、俺めっちゃびっくりしたんやで……？」
「それは……ごめん、」
良規「頼むからちゃんと連絡してや、それと……」
俺の前からいなくならんといて、
正門くんは、弱々しく呟いた。
駅を行きかう人々は、隅っこで抱きしめあう男女に目もくれず歩いていく。
「……正門くん、」
――正門くんにとってさ、私ってなんなの？
そんな言葉が脳裏に浮かんで、消えた。
正門くんが持ってきてくれた傘を借りて、２人で家までの道のりを歩く。
良規「ええの？タクシーで帰らんで、」
「うん。東京でちょっとお金使っちゃったし、節約。」
良規「……東京行ってたん？」
「……うん。」
良規「……どやったん？楽しかった？」
「うん。オシャレなお店いっぱいあった。」
良規「ええなぁ。俺も行きたいわ」
「でもね人いっぱいでちょっと苦しかったよ」
良規「都会の人は冷たいって言うしな」
若干雨の音にかき消されながら、他愛のない会話を繰り返す。
そうこうしてるうちに、私のアパートに着いた。
「……迎えに来てくれて、ありがと。……これ、お土産。」
良規「え？……俺にくれんの？」
「うん。逆にこの状況で正門くん以外ないでしょ？笑」
良規「……ありがとう。一生大事にする」
大切そうにお土産のキーホルダーを受け取る。
……もっと東京っぽいのにすればよかったな、
良規「……なぁ、A」
「……ん？」
良規「……誠也くんに、会いにいったん、？」
消え入りそうな声で、彼は言った。
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作者名：かるぼなーら | 作成日時：2024年3月25日 23時
