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Aside
雨。
憧れていた花の街東京。
そんな街の片隅の居酒屋。
さっきより強くなった雨の音を聞きながら、そっと目を瞑る。
誠也「送ってく。」
そう言って頑なに譲らない。
「……申し訳ないし、」
誠也「こんな深夜に呼び出しといて、今更なんやねん。」
それはその通り。
返す言葉もなく、酔いさましのお冷を一口。
たいして飲んだわけでもないが。
誠也「……心配やねん、お前のこと。」
いつもは気の強そうな声が、いくらか不安そうに聞こえた。
そっと彼の方に視線を向けると、心配そうな誠也の顔が目に入る。
「……相変わらずの心配性だね、」
私は言葉を発すると同時に、ため息が漏れる。
誠也「……お前が相変わらず、呑気やな。」
「……すえざわくん、」
私がそう呼ぶと、彼は眉をひそめた。
誠也「……いまさっき誠也って呼んでくれるって約束したばっかやん、」
「ごめんごめん、だって高校のときはずっとすえざわくんだったし。」
まぁ確かにな、と彼は半ば呆れ気味で笑って見せる。
誠也「……今夜、どこ泊まるん？」
「本格的に送ろうとしてる？」
冗談気味に返答すると、誠也はしかめっ面でこっちを見る。
誠也「なに、送ったらあかんの？」
「あかんっていうか……お人好しもほどだよね」
誠也「あほこんな深夜にA1人で帰らすわけないやろ」
当たり前のように言う誠也。
そんなところは、昔から変わらない。
「……誠也は、大阪に戻る予定あるの？」
なにげなく訊ねてみる。
誠也は椅子の背もたれに背中を預け、深く座りなおす。
誠也「……そのうち、戻る。今は仕事でこっち来てただけやからさ」
「……そっか。東京でも関西弁ガンガンで安心したよ」
誠也「ちょっと東京に染まってみようかなと思うてんけど、無理やったわ」
俺には都会すぎるわ〜東京、と笑う誠也。
誠也「にしても、お前はいつまでたっても関西弁うつらんよな。ずっと標準語。」
「ノリだけはいっちょまえに大阪だけどね、笑」
誠也「ほんまに、笑」
「だってチャレンジしても皆にエセだ〜って馬鹿にされるから諦めた、笑」
大阪に行く前は、確かに東京の人間だったはずなのに遠く感じてしまうのはなんでだろう、
誠也「……なぁ、ずっと聞きたかったこと聞いてええ？」
「……ん、？なに？」
誠也は私の目を見て呟くように言った。
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作者名：かるぼなーら | 作成日時：2024年3月25日 23時
