対峙 ページ10
カルマside.
発砲は本戦の合図。
鷲沼は生き残ったようだけど、オレはあの赤司ってのとやってみたかった。
(けど、オレを追ってるのは鷲沼か……あのとき、仕留めれば良かったかな)
そう思いながら、カラー付き弾丸を手にする。
が、オレには数がない。
余裕だからと、カラー付き弾丸は5発分しか手にしなかった。
実際、数持ってても、鷲沼を止められるやつはいなかったしね。
(けど、その鷲沼を止めたとこを見ちゃったし……何より、気になるよねぇ。あの転校生達)
オレはそんなことを考えながら、見晴らしの悪い方へ向かう。
その瞬間……。
パァン
と銃撃がしたと思った。
どこからかはわかったけど、オレの足が前の木の枝を踏んだ瞬間のは予想外。
ビシッ
弾丸が木の分かれ道に当たり、グラグラと揺れる。
「えっ?」
(まさか、これを計算して?)
率直にそう思った。
それからオレは背中から落ち、赤司の前で背中を強打した。
「イッテェ……」
「……大丈夫か?」
「なんとか?てか、そっちのパートナーに落とされたんだけど」
「鷲沼か。どうやら洞察力が優れているようだな。それに、気配を殺すのが上手い。僕も途中は動きがわからなかったよ」
赤司はそう言って、上に顔を向ける。
気配は確かに消されたが、1つだけ納得がいかない。
とくに、"わからなかった"という点ではね。
「わからなかった?そういう指示じゃないの?」
「いや。僕は僕で作戦は考えていた。だが、鷲沼はキミを追うなり、木の上へ上がってな」
「へぇ……指示じゃないんだ。なら、そっちも、頭脳だけでやろうよ」
オレは笑顔で言って、立ち上がる。
赤司は木の上からオレへ顔を向け、見た。
瞬間に、威圧感がこちらに牙を向けてきた。
「っ!」
(なんて威圧感……けど、負けたくない)
このときのオレは赤司が持つ力を甘く見ていた。
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年12月30日 15時