機動力 ページ5
「どの口が言ってんの?泣くどころか、笑ってるクセに……相変わらずタチが悪いね。"カルマ"くん」
私はそう言って、彼を見つめる。
彼は私から視線を外すと、黒子くんへと向ける。
「キミ達が転校生?女子1人、男6人……逆ハーってやつ?」
「……たまたま同じ学校から来ただけなのだよ」
「真太郎。たまたまじゃない。必然だ」
赤司くんはそう言うと、カルマくんへと視線を向ける。
「それより、キミが僕達を見下ろす位置にいるのは気に入らないな。降りてきてもらおうか」
「えっ……」
どういう、こと?
降りてきてもらう?
「降りてもらうって、どうやって?」
「簡単だよ。暗殺者らしく、暗殺で勝負をしよう。チームは7人。大将は僕と君。どちらかの大将が首を落とされたら負けだ」
「なっ!?」
「ちょっ、ちょっと待って!」
赤司くんの言葉に私は驚くしかなかった。
今日転校してきて、暗殺で勝負!?
ちょっと待ってよ……。
かけるのは互いの首って……無謀にも程がある。
「……おもしれー。オレは乗った!」
「俺もっス」
「俺もなのだよ」
「え〜、てか7人って俺も入るんじゃん……」
「赤司くん、あたしは……」
「お前は鷲沼さんと交代だ」
「……えっ!?交代!?なんで!」
私は思わず、声を上げる。
そりゃそうでしょ。
私、転校生じゃないよ?
そう思って、赤司くんを見つめる。
「……僕の命令は絶対だ。異論は認めない。何か異論があるなら、成果を出して言うんだな」
「……」
お、横暴だ。
想像以上の横暴だ……。
あまりのことに、放心していると、ポンと肩に手を乗せられた。
「すみません。実は……さっきので、桃井さん足を怪我してしまって……桃井さんの代わりをお願いできませんか?」
「怪我……」
そういえば、少し派手に転んでたっけ……。
どちらにしろ、私が原因!?
それで、怪我人の代役ってこと!?
「……」
「おい、テツ。余計に放心しちまったぞ」
「そうですね。どうしましょう……」
「問題ない。手はある。それに、彼女の機動力は重要だ」
3人がそう話していたのを、私は全く知らない。
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年12月30日 15時