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割られた携帯 ページ25

そんな鷲沼に、テツヤは困ったような表情を浮かべる。
だが、ここで悩んでも何も解決策は生まれない。
僕は僕のすべきことをやろう。

「テツヤ。少しの間、鷲沼を頼む」

「えっ、赤司くん?」

「心配ない。迎えを呼ぶだけだ。安全な場所でゆっくり話せる場所がない限り、鷲沼は落ち着かないだろう」

僕が呟くと、テツヤは鷲沼へ顔を向ける。
そして、心を決めたのか、僕へ向き直る。
その表情は自分が今成すべきことを、判断したときのものだ。

「お前のそういうところ、羨ましいのと同時に、頼りになるな」

僕はそう呟くと、そのまま運転手に電話をかけた。
呼出音が数回鳴ると、運転手が出る。
僕は周囲を警戒しながら運転手に指示を出す。

「僕だ。電話を切ったら30分以内に指定する場所へ来てくれ。ルートは……」

僕は最後に「頼む」と告げると、電話を切った。

「赤司くん。どこに待機してるのかわからない迎えの車に、随分細かく指示を出してましたが……」

「時間内に来れるようには調整したから、問題はないよ」

僕はそう言って、携帯をしまう。
すると再び、鷲沼の携帯が震える。
僕は鷲沼の手から、その携帯を取り開く。
そこには、やはり父親からのメールだ。

―――
A?
なんで帰ってないんだい?
メールの返信もないね?
まだ、一緒にいるのか?
早く離れろ。
自分の為にも
―――

「……鷲沼。メールを転送後なんだが……」

「……赤司くんの気が済むようにやって。私も……耐えられない」

「わかった。それと、早急に自宅を引っ越すのも提案しよう。どこにいても、自宅が割れるなら、僕も協力する」

僕はそう言いながら、メールを転送後、鷲沼の携帯をへし折った。

「なら、赤司くんの知る物件で良い。自分で探すのは疲れた」

「わかった。家賃も僕の方で持とう」

僕はそう言って、壊れた携帯を見つめる。
携帯にはストラップがあり、犬に抱きつく少女。
僕はそのストラップに触れる。

「あ、それ……私が飼ってた犬で、名前はチェリー」

「チェリー?"サクラ"か?」

「そう……って、たいていは"さくらんぼ"って言われるけど……」

「その固定概念も本来はない方が良いんだがな」

僕は呟きながら、ストラップを外す。
その際に、チラチラと角度を変えると、携帯がサクラ色に光ったり白になったりと色を変える。
僕はストラップを手に、色を変えるそれを見つめていた。

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設定タグ:黒子のバスケ+暗殺教室 , , 二次創作+オリジナル   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年12月30日 15時

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