終結 ページ11
それからオレは体を起こして、お互いにナイフで切り込んでいる。
けど、赤司のやつ、隙がない。
それ以前にオレの出す攻撃、全てを紙一重でかわしてる?
「ねぇ、さっきから紙一重だけど、かわすのギリギリな感じ?」
「まさか。僕には少し先が見えるんだ。だから、最小限の動きだけでかわせる」
「へぇ、じゃあこれは?」
オレはそういうと、ナイフと足を同時に出す。
これなら!
そう思ったのもつかの間。
パシッ
「なっ!」
「……言っただろう……僕には少し先が見えている。僕の目がある限り、僕を欺こうなどと考えないことだ」
赤司がそう言った瞬間……。
何が起こったのか、わからなかった。
ただ、トスと胸にナイフを当てられ、オレはその場に座り込んでいた。
「……終わったよ、鷲沼」
赤司の言葉でオレは胸を見る。
そこには、カラーが付いている。
いつの間に、なんてことは思わない。
感触は確かにあった。
オレははその場に倒れ込んだ。
「オレの負けか……」
「1つ、言うなら……キミは誰かの上や下というより、背中を預けられる者をそばに置いた方が良さそうだね」
赤司はオレに顔を向けて呟く。
オレは小さく笑った。
「なら、オレは赤司か鷲沼に背中を任せようかな」
「なら、僕よりも鷲沼が適任だろう」
赤司はそう言って、再び鷲沼がいる場所に顔を向けた。
オレもそっちへ顔を向ける。
が、鷲沼の姿は見えない。
「……鷲沼?」
「……カルマ。耳を塞げ」
「えっ、何するの?」
「上に行っても良いが、この方が早い」
赤司はそう呟くと、銃を上に向ける。
オレはその瞬間に察した。
それと同時に、鷲沼、可哀想にななんて思いながら、耳を塞いだ。
パァン……
ガサガサ
トサッ
赤司が銃を撃つと、鷲沼が落ちてきた。
が、なんとか受身は取って可憐に着地をした。
「……呼び声が聞こえなかったのか?」
「……ごめん。驚いてくれれば……と思ってたけど、落ちると思ってなかったから、そのことで放心してた」
「なるほど。まぁ、今回ばかりは鷲沼の手柄だ。よってペナルティはない」
「いや。やる。放心のペナルティ」
鷲沼の言葉にオレは目を見開く。
というか、鷲沼って喋るの?
オレが聞いてた鷲沼と情報が違う。
オレが聞いてたのは、無口でクールめな女子だ。
(言葉は確かにトゲがあるけど……ちゃんと話すんだ……)
オレがそんなことを思っていると、鷲沼と目が合った。
「……物珍しげに見ないでくれる?見せ物じゃないから」
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年12月30日 15時