始まりの時間 ページ2
椚ヶ丘中学校、3年E組。
そこは本校から離れた山奥の旧校舎。
そこに足を踏み入れると、和やかな場所には不似合いな殺気が立ち込めている。
ガラッ
「……おはよう」
「あ、おはよ……」
教室に入り、挨拶をしながら自分の席に向かう。
ふと、周囲を見渡すと、席が多いことに気づいた。
けど、誰に聞くでもなく、私は席に着いて机に突っ伏した。
キーンコーンカーンコーン……♪
チャイムが鳴ったのと同時に、クラス全員が武器を手にする。
それは私も同じだ。
ガララ
「ヌルフフフ。みなさん、おはようございます。楽しい暗殺と行きたいところですが、今日は転校生を紹介します」
「……転校生?」
「女子?」
パァン!
クラスメイト達の言葉を遮り、私は銃を打つ。
が、ターゲットは素早くその弾をかわす。
「……転校生とか関係ないよ。このクラスに入ったなら、ゲームの参加者。私達、全員がライバル。そうだよね?」
「鷲沼さん、毎回言いますが、先生の言うことをですね!」
「イヤだ。このクラスに編入したとき、言ったでしょ?『私は先生含め、教師は信用しない。殺して良いなら、全力で殺しに行く』って。それを了承したのはあなたでしょ?"殺せんせー"?」
私はそう言って、銃を構え直す。
次は外さないという、心構えで照準を定める。
「……すみません。そのまま打つと、ボクに当たります」
「!!?」
突然現れた人物に、私は銃口を思い切り逸らしてしまう。
パァンッ!
「!?」
銃は暴発して、弾は宙を舞う。
私はそれを黙って見ているしかできなかった。
シュッ
「えっ……」
突然、私も視界に入ったバスケットボール。
それは方向を変えて、暴発した弾を弾いていた。
私は驚きのあまり、ボールが飛んできた方へ顔を向けた。
「……よくやった。テツヤ」
そこには、シュートモーションの人。
私は意味がわからず、先生へと顔を向ける。
「ヌルフフフ。彼らが転校生です」
先生はそう言い、黒板に名前を書いていく。
どうやらあいうえお順になっているようだ。
「うおおおおぉ!女子だ〜!」
「やべぇ!超可愛い!」
「……」
男子がそう騒いでいる中、転校生の自己紹介が始まったが、ほとんどの男子が騒いでいたので、前半は聞こえなかった。
「……今騒いでるやつ全員、頭が高いぞ。今喋っているのは僕だ。全員、黙れ」
そう、彼に言われるまでは。
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年12月30日 15時