Q36:ザワつく心 ページ37
それからしばらくして、私達はリビングで食事をしている。
赤司くんはというと……何かを考えているのか、黙ったままだ。
(ご家庭がそうなのかな?でも、感想は言ってくれるし……)
「……先輩」
「なに?」
「先輩のドリンクも、お料理も、美味しいです」
「あ、ありがとう……」
私は恥ずかしくなって、下を向く。
料理は何度かある。
けど、ドリンクは初めてだ。
「味付けとか、大丈夫だったかな」
「ええ。ちょうど良い味でした」
「そう……良かった」
赤司くんの言葉に、私は微笑んだ。
赤司くんも柔らかく微笑んでくれる。
「じゃあ、片付けを……」
「あ、私やるから置いてて良いよ。それより……今日の練習量は大丈夫そう?」
私が呟くと、赤司くんは驚いた顔をする。
そして、椅子に座り直した。
「大丈夫というのは……」
「急にメニューが増えたでしょ?1週間くらい、倒れちゃう人がいて……」
「ああ。俺なら大丈夫です。直ぐに慣れますから」
「……私も、メニューを考えるときあるから、そのときは見せてね?」
「先輩なら、いつでも見せますよ」
「私は冗談で言ってないよ?」
「わかってます」
「なら良いけど……」
私は呟くと、食器を手にキッチンへと行く。
スポンジに洗剤を付け、洗い始めると、赤司くんがそばまでた。
「……先輩。部活繋がりですみません。先輩が虹村先輩と一緒のときは誤解を招かないようにしているんですが……」
「……私は"先輩"じゃなくても良いよ?赤司くん達は1年だけど……私は男バスだとマネージャーと選手ってだけで、接点はあまりないし……フレンドリーでも良いかな」
私が呟くと、赤司くんは考え込んでしまう。
この姿を見る度、不安になる。
出すぎたかなって。
「では……如月"さん"?」
「あ、うん。そっちの方が距離は近いね」
「では、これからはそう呼びます」
「うん」
「明日も、勉強を教えてくれますか?」
「明日?……良いけど、赤司くんは大丈夫?」
「問題ありません」
「即答……」
でも……赤司くんが言うなら、大丈夫……なのかな?
私は不安だけど……無下にはできないし。
私はふっと小さく笑い、口を開く。
「良いよ。時間に余裕があるときに寄って?」
「ありがとうございます」
そう言うと、赤司くんは優しく笑う。
その笑顔を見て、私は心がザワついた。
そして……それと同時に確信してしまった。
私は……赤司くんが好きだ、と。
※
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年11月20日 16時