Q21:マネージャー ページ22
それから時は経ち、いよいよ軍分けの日が来た。
1年は初めての軍分け、2年は2度目の軍分けだ。
どちらも緊張の渦が張られている。
「……全員揃っているな。まず、選手から順に発表する。最後はマネージャーだ」
監督の言葉でますます緊張は張り詰めたものに変わっていく。
「え〜……その前に女子は新入生未加入のため、今回は軍を1つ減らし、2軍まで。男子は通常通り3軍だ。では、発表するぞ!まずは女子!2軍!」
監督は声を張ると、次々と名前を呼び上げていく。
2軍に如月先輩の名前は出てこなかった。
チラリと先輩に視線を送る。
如月先輩は少し俯いていて、表情が読めない。
「……今、名前を呼んだのが2軍。呼ばれなかったのは1軍だ。次、男子は2軍から呼ぶ!呼ばれた者は前に出ろ!」
監督はそう言うと、俺達に顔を向ける。
2軍スタート……。
つまり、ここに入らなければ、3軍かあるいは……。
そう思っていると、監督の声が止まった。
知らずに下を向いていた顔を上げると、既に2軍は出揃っているようだった。
「以上が2軍だ。次、3軍行くぞ?3軍は名前を呼ばれたら下がれ」
再び監督がそう言うと、次々に名前を呼び上げる。
「え〜……次!黒子テツヤ!」
「あ、はい!」
監督の声に、『黒子』と呼ばれた者の声が響く。
監督はそれきり口を閉ざしてしまう。
「……以上だな。呼ばれなかった者は1軍だ。次、女子バスケ部マネージャー……如月A!遠藤愛菜!赤司征十郎!前へ出ろ」
監督の言葉に周囲がザワつく。
それもそうだろう。
実は、如月先輩達が第3体育館で試合をした日、あの日の帰りに俺は女子バスケ部への入部届けをマネージャーとして提出していた。
「赤司?赤司征十郎!いないのか!?」
先輩達は既に前に出ていて、残っているのは確かに俺だけだった。
「すみません」
俺は謝りながら前に出る。
隣は如月先輩だった。
「このメンバーがマネージャーとして女子バスケ部を支える。なお、2年は2人だけだ。初心者は2人に聞きながら仕事を覚えろ。次、男子バスケ部マネージャー……」
監督は呟くと、名簿から如月先輩に顔を向ける。
「……やるのか?」
「そこに載っているなら……いえ、やります」
先輩の言葉に監督は再び名簿へ戻す。
「男子バスケ部マネージャー……如月A、桃井さつき」
如月先輩は俺から少し離れると男子の方へ行く。
このときの俺は単純に喜んだ。
だがそれは、如月先輩が出した答えの1つだ。
さて、ここから始めるか。
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年11月20日 16時