Q11:インハイ3位 ページ12
翌日の朝練。
私はマネージャー側で、ペンを走らせていた。
(……みんな動きは悪くない。けど……1年は固いかな)
ふと顔を上げると、桃色の頭の子が、私を見つめていた。
「ぅっ……えっと……」
咄嗟に悲鳴を上げそうになったけど、なんとか堪えて相手を見つめる。
彼女はニコリと微笑むと、「私、桃井さつきです。1年でマネージャーの」と手を差し出してきた。
「……如月Aです。私は2年なので、わからないことは聞いてください」
私はそう言いながら、彼女の手を握り、握手を交わした。
そこへ、昨日たくさん聞いた声が近づいて来るのがわかった。
「赤司くん!休憩?」
赤司くんは私に顔を向けると、「はい」と小さく頷いた。
「如月先輩、ボトルをもらえますか?」
「あ、うん。ドリンクを作った際に、名前は貼ってあるから、自由に持って行って良いよ。タオルは?」
「少し個人練習したいので、今は……」
「わかった」
苦笑混じりに呟くと、桃井さんが赤司くんを見る。
「もう、先輩と仲良くなったの?」
「桃井か。如月先輩は女子バスケ部で、去年までマネージャーだったそうだからな。学べることは学んでおけ」
赤司くんはそれだけ言うと、コートに戻っていく。
私はというと……桃井さんの視線が……。
「え……っと……なに?」
「先輩って、女子バスケ部なんですか?」
「あ……うん。去年はインターハイ3位だったかな」
私はそう呟くと、赤司くんが戻ったコートに顔を向けた。
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作者名:アマユリ | 作成日時:2021年11月20日 16時