検索窓
今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:3,908 hit

Q18:1つの視線 ページ19

その日の放課後。
私は桃井さんに声をかけて、第3体育館のベンチに座っていた。
点差は第1Qで、3点こっちが有利。

「……監督、これ……マズくないですか?」

「ん〜……確かにな」

「どういうことですか?」

桃井さんが首を傾げる。
何がマズいって……

「毎年、練習試合を組んでるところだから、向こうはこっちの、こっちは向こうのクセを把握してるのよ。おまけに……こっちの場合は選手が止まると……パスコースも同時に塞がれる」

私が呟き、12番の子が止まってボールを手にすると、既にパスコースは塞がれている。

「またアイツだ!止まるな!そのまま取って回せ!」

監督はそう指示を飛ばす。

「みんな止まると、パスコースが……」

「……そうだね。しかも、彼女はまだ無得点」

「……こうなれば……如月」

「私、捻挫してますけど……」

「ぐっ!各クォーター、残り5分でお前を出す。その間にテーピングでもしていろ」

「……わかりました」

「かっ!」

私は桃井さんの肩に手を乗せると、数回ポンポンと叩いて首を振った。
桃井さんは私を見ると、涙を目元に浮かべている。

「大丈夫」

私はそう言うと、テーピングを始めた。
監督の性格とかは知っている。
決定事項に逆らえば、2度とベンチに入れないかもしれない。
それをわかっているから、チャンスは潰したくない。

それから、監督の言葉通り、第1Qラスト5分。
私は背番号12の子と交代してコートに入った。


Aがコートに立ってから、男子バスケ部が第3体育館に入ってきた。

「あらら〜?如月先輩、出てるよ〜?」

「バカ、黙って見てろ」

虹村キャプテンがそう言うと、全員の視線がAに向く。
そこにはコートに入り、キャプテンである霧ヶ咲と他のチームメイトと何かを話すAがいた。

「……とりあえず、全員固い!去年のクセなんて、こっちも把握してるんだから、止まらないで!動けたら動いて!」

体育館内にAの声が響く。
それに周りが「了解!」と声を上げる。

「1年は如月から目を離すなよ?俺らとは1年遅れでレギュラーを獲得したからな」

虹村キャプテンがそう呟くと、第1クォーターラスト5分の試合が始まった。
下で試合をするAと、彼女を応援する虹村達を見つめる1つの視線があることを、彼らは知らない。

Q19:違和感の謎→←Q17:仕事と教育



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
設定タグ:黒子のバスケ+オリジナル , , 二次創作   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アマユリ | 作成日時:2021年11月20日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。