コーヒーは苦いんじゃなくて、暖かいんですね。【0617HBD企画】＊完結＊ (ページ8)

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しみじみと。そんな回想を
していたら。二宮さんが私の
手元にある物に目を向けた。

｢…あれ？Aちゃんバイト探してんの？｣

｢え？あぁ、そうなんですよ。ちょっと前までレストランで働いてたんですけど、そこ閉店しちゃって。新しいとこ探さないと…。｣

普通に大学生ってお金がかかる。
奨学金借りたとはいえ、それを
返すために貯金もしたいし。

…なによりほぼ毎日ここに通ってるから。

意外とね。お金がね。いりますよね。

バイト情報誌を眺めてはいるけど
前と同じくらいの給料で
シフトの融通が効きそうなとこって…。
あんまり見当たらないんだよなぁ。

ペラペラ、ページを繰る私の手から。

パッと本がとりあげられる。

｢え、ちょっとなにするんですか。｣

｢Aちゃんそんなお金ないの？｣

｢な、無いわけじゃないですけど。働かなきゃ余裕はないですよ。｣

ふーん。

自分が聞いたくせに…あんま興味なさそうな。

二宮さんはどうでもいいだろうけど。
私なんかここに通わなくなっちゃったら
あっという間に忘れちゃうんでしょ。

あなたの記憶に残りたくて。

お金ないなりに頑張ってるんだよ。

告白すれば？って友達には
言われたけど。

教授への恋心を救ってくれた人だから。

…余計に。言えないでしょ。