コーヒーは苦いんじゃなくて、暖かいんですね。【0617HBD企画】＊完結＊ (ページ7)

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｢Aちゃんはさ、後悔してる？｣

｢…後悔？｣

｢そう。その教授を好きになったこと。｣

教授を好きになったこと。

見つめるだけで幸せで。
笑顔を向けてもらえるだけで。
教授のアドバイスが書かれたレポートを
眺めるだけで。泣きたいくらい幸せだった。

相手がいるってわかってても。

苦しくても。切なくても。

それでも私は。私は。

｢幸せ、でした。｣

｢なら。もうそれだけでいいんじゃない？｣

叶わなかったけど。
幸せだった記憶がある。もうそれだけで
Aちゃんの恋は素敵だよ。

二宮さんがそう言ってくれて。

｢このまま気まずくなるよりはさ。幸せでした、ありがとうって伝えた方がスッキリするよ。きっとね。｣

はじめて。スッと。納得できた。

私は幸せな恋をしてたんだ。

誰にも誇れない、話せない。
苦しいだけのそんな恋だと思ってたけど。

認めて貰えた気がして、ただ嬉しかった。

｢ありがとうございます…二宮さん。｣

泣くのを堪えてそう伝えたら。

二宮さんはふふんって
ちょっぴり得意気に鼻で笑うだけだった。

…耳がちょっと赤いのは。
照れてるからだろうか。突っ込んだら
怒りそうだから言わないけど。

後日私は教授に会いに行って。

ちゃんと話した。全部。

幸せをありがとうってちゃんと言えた。
教授がこちらこそありがとうって
言ってくれて。幸せな涙が出た。

この頃からだろうなぁ。
私が二宮さんを意識しだしたのは。