コーヒーは苦いんじゃなくて、暖かいんですね。【0617HBD企画】＊完結＊ (ページ5)

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しばらく泣いて、涙が止まってきてから
気づく今の状況。

…顔、上げにくい…。

女ひとりで喫茶店入ってきて。
コーヒー飲んでいきなり泣きじゃくるとか。
絶対この人ひいたでしょ私ならひく。

恐る恐る顔をあげたら。

「泣き止んだ？」

「はわあっ！？」

思ったより至近距離に男の人がいて
訳の分からない声が出た。

男の人は一瞬きょとん。として
「ぶはっ(笑)」と吹き出す。
顔を背けて腕に顔をおしつけてる。

…お兄さん。誤魔化してるつもりかもだけど
思い切り肩も揺れてますからね。

地味に傷つきますからね。

「…泣いた割に元気だね。」

「…なんで泣いたのかよくわからないくらいなので。」

落ち込んではいたけど。

センチメンタルではあったけど。
あんな突然泣き出す程じゃなかったはず。

「おねーさん、なんか嫌なことでもあったでしょ？」

「俺のコーヒー飲むとね。みんな元気になんのよ。泣いて少しはスッキリした？」

口角をクイッと上げて。
可愛らしく微笑みながら首を傾げる。

…飲むと元気になる、コーヒー…ね。

もしかして私。泣きたかった？

確かに喫茶店入るまでの
ごっちゃごちゃした気持ちとか。

教授のこと考えてた頭の中とか。

泣いてちょっと。思考がクリアになった気がする…。

でもお兄さん。

お客さんが元気になるのって。
コーヒーだけじゃなくて。あなたの
その笑顔も原因なんじゃないの？

だって私。

失恋したばかりなのに。
あなたの笑顔にドキドキしてます。(なんて現金なヤツ)