11【 Ninoside】 ページ11
はじめてあんたが来た時。
壊れそうな、明らか傷ついた
泣く寸前みたいな表情をしてた。
でも本人はそれに気づいていないのか。
動転した自分を落ち着けるかのように
コーヒーをひとくち飲んで。
泣いた。
…凄く綺麗に泣くなって思ったんだ。
ひとしきり泣いた後。
俺が元気になるコーヒーだよって
言ったら。
もうひとくち飲んでさ。
あんた、すっげぇ幸せそうに笑ったんだよ。
その顔見たらさ。
もう堕ちちゃったよね。あっさりと。
俺のコーヒーが気に入ったのか。
そっからずっと店に通ってくれるようになって。
片想いの話とか。
講義中のくだらない話とか。
友達との話とか。
自分の目指してる夢の話とか。
話す度にコロコロ変わる表情。
たまに俺が触れると真っ赤になるとことか。
俺をからかう表情。笑顔。
気づいたら。驚くほど好きになってる。
Aちゃんが俺のことを
意識してるなっていうのも
なんとなくわかってきて。
でもついこの前まで
恋焦がれていた相手がいた子に
堂々と告白？とか。するのもどうなのよってね。
タイミング考えたりとかしてたらさ。
半年経ってて。
俺ってこんなヘタレだっけ？
｢お金稼がなきゃっていうなら。バイトもしていいよ。ただし。俺の彼女になることが条件ね。｣
やっと素直になれそうだから。
やっと俺のもんになりそうだから。
Aちゃんも素直になんなさいよ。
赤くなってパニックになってる
Aちゃんが可愛くて。
結局我慢出来ずに。
返事も聞かずにもう1度唇を重ねた。
＊End＊
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作者名：しほ | 作成日時：2016年6月13日 9時
