絶体絶命 ページ32
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「うるさい！お前がAちゃんを横取りしたんだろ！！」
渡「うわっ、やめろ！近寄んな！！」
刃物を振り下ろしながら翔太の胸ぐらを掴む柿崎。あたしには止められない。どうしよう。
『もうやめてよっ！なんでもするから翔太だけはきずつけないで！！！』
どうしたらいいのか分からなくて、必死に涙を堪えながら柿崎にお願いすると、すかさず翔太から怒号が飛んでくる。
渡「おい、ふざけてんのか！お前何言ってんだよ！お前のこと好きにされて納得出来るくらいなら最初から助けてねぇよ！大人しく隠れとけ！！」
「なんて口が悪いんだ！こんな男Aちゃんにふさわしくない！今すぐ別れろ！」
渡「うっせぇ、何もかも悪ぃお前にだけは言われたくねーよ！」
「な、なんだと！！」
刃物が翔太の首元にスレスレになったから、すかさずフライパンを柿崎の頭めがけて思いっきり投げた。
渡「うわっ、あぶね！」
反射神経のいい翔太は避けたけど、柿崎にはクリーンヒットしてうずくまってる。
渡「おい、おっさん。警察呼ぶからな」
「そ、それだけは勘弁してくれ！！金なら払う！」
渡「今の今まで人殺そうとしてた奴が何ぬるいこと言ってんだ。金なんか要らねぇ。その代わり覚悟しとけよ」
警察が来るまでの間、観念したのか柿崎はとても大人しくて、駆けつけた警察に連行されていく間も柿崎はずっとあたしのことを見ていた。
警察に任意同行を求められたけど翔太が「今日は辞めてあげてください」と言ってくれたので後日になった。
「...大丈夫か？」
『うん、大丈夫だよ』
「嘘つけ。手首アザになってんじゃん」
よっぽど強く握られたのか、手首に手形のアザがついていた。
湿布代わりに冷えピタを貼ってくれた。
「警察に被害届出して、あいつがAに関われないようにしてもらおう。」
いつもは抜けてるのに真剣な眼差しであたしを見つめる翔太に、頷くしか無い。
｢お前電話、本当にたまたまなの？｣
『うん、あたしかけてないもん。』
｢どんだけ強運なんだよ。俺が近くにいて良かったわ｣
今日の現場は家から近くて康二くんと2人の撮影だったから、あたしからの電話で直ぐに抜けてきてくれたらしい。
あんなに怒ってる翔太を見るのは初めてで、どれだけ心配かけたのか考えるだけで本当に申し訳なくなった。
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作者名：syopi | 作成日時：2021年1月30日 11時
