初対面以来のお姫様抱っこ ページ29
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「樹、ごめんな。巻き込んで」
樹「何言ってんの！俺がいなきゃしょっぴー変な顔して焦り倒してたでしょ」
「おい、変な顔ってなんだよ」
樹「俺は別でタクシー拾うからAちゃん連れて帰ってあげて」
「おう、ありがとな。落ち着いたらA連れて飯行こうぜ」
樹「それは楽しみ！おっけ、それでチャラね！」
樹は見た目や雰囲気で嫌われることが多いけど、本当はめちゃくちゃ良い奴だ。じゃないと俺が仲良く出来るわけない。
荷物をマリアから受け取ってAとタクシーに乗り込む。
「A、もうすぐ家着くから」
『うん...』
よっぽどしんどいのか、俺にもたれかかって目を開けようともしない。
「着いたけど...歩けそうにないか」
Aと初対面の日以来のお姫様抱っこで部屋まで連れていく。
どんな時でも化粧は落として寝る！が決まりのAだけど、そんなこと気にしてる場合じゃないからとりあえずベッドに寝かせて水を飲ませる。
『うぅ、吐きそう』
「トイレ行くか？」
抱えてトイレまで連れて行き、さすがに吐くところは見られたくないだろうからリビングで待機する。
...気づけば30分経っていて、全然戻ってこないから心配で見に行くと便座にもたれて寝ていた。
「風邪ひくよ」
返事がないからそのままベッドまで運んで布団をかけた。ちゃんと寝息を立ててるからもう大丈夫だろう。
渡辺翔太普通に寝てるからもう大丈夫だと思う。本当ありがと
樹にLINEをして、俺も寝る準備に取り掛かることにした。
ーーーーーーー
Aが心配だからずっと起きてるつもりだったのにいつの間にか寝てしまった俺が目覚めた時にはもうAは隣にいなかった。
「A、大丈夫！？」
寝起きの悪い俺の頭が珍しく一瞬で冴えて、リビングまで走った。
『あ、翔太...あたし昨日の記憶全然ないんだけど』
Aに俺がマリアから聞いた分かる範囲の話をしたら、びっくりしてた。
『え、やばいじゃんあたし。樹くん本当ごめん』
「そんなんいいから。体調大丈夫？」
『頭ガンガンするけど大丈夫だよ。あとちょっと寝たら落ち着くと思う。』
「じゃあもっかい横になっとけよ」
『うん、そうする』
そういって2人でもう一度ベッドへ入った。
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作者名：syopi | 作成日時：2021年1月30日 11時
