お願い、諦めて ページ32
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山「最初は別れてって言われて、それだけは無理って言い続けたら定期的に会うことを条件にされた」
渡「...いつから？」
山「もう1年くらいになる。始めはここまでの頻度じゃなかったんだよ。でもどんどん会う頻度増やされて、最近Aとも前ほど会えてなかった」
でも俺が本当に好きなのはAだけなんだよ。だからお願い、Aのこと諦めてよ...
消えそうな声で訴えかけてくる山田。
渡「なんで俺にそんなこと言ってくんの？お前プライド高いのに恥ずかしくないの？」
山「恥を承知で頼んでんだよ」
渡「Aに言いよってる男なんて俺だけじゃないだろ？」
山「他のやつにAが興味示してる所なんか見たこと無かったから今まで何も気にしてなかった。けど、お前は違う」
渡「...なんで？」
山「Aが今日みたいに誘われて応じてる時点で今までとは違うし、俺の話遮ってまでお前に着いてったから」
こんな時ですら、Aが他の男とは違う対応をしてくれてるって事に嬉しくなってしまう自分が居る。
渡「ここまで話聞いといてなんだけど、何言われてもAのことは諦めれない。Aが自らお前のとこ戻らない限り俺は諦める気ないから」
山「そっか。わかった。」
渡「この話はAにはしないでおくよ。俺から言っても意味ないと思うから言うなら自分から伝えて」
それじゃ、と言って部屋から出て早歩きでカフェに向かう。
Aに言うべきなのか。言わない方がいいのか。
言わないでおくと言ったものの、そんな疑問が頭をぐるぐるする。
言ったらAは山田の元へ戻ってしまうっていう気持ちと、山田が必死で我慢し続けてきたことなのに俺が簡単に言ってしまっていいのか、という俺の中に僅かに残った良心がせめぎ合ってる。
渡「あああああっ！！くそっ！！こんな大事なこと俺に言うなよ！！！！」
独り言にしては大きい心の声が漏れてしまった。
どんな理由であれAを諦める気はないけど、思ったより重い状況で山田に同情してしまう。
結局俺はAを自分の物にしたいからこの現状に付け入るしか術がないのは分かってる。
渡「っよし！！」
気づけばカフェは目の前で、気持ちを切り替えて皆の元へ向かう。
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作者名：rxr18 | 作成日時：2021年1月10日 11時
