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和也「・・・・じゃ、中にﾁｰｽﾞ入れろよ。」
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少し先を歩いているカズにぃが
ﾁﾗと後ろを伺って、
不器用にそう言う。
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可愛い。
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今はこんな言葉がしっくりくる。
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言ったらきっと怒っちゃうんだろうけど。
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猫背の背中を、見つめながら
私はカゴに入ったしいたけの事を考えていた。
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和也「・・あ、そだ。」
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突然、思いついたように後ろをふり返るカズにぃ。
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「え・・、何？」
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和也「俺の弁当、ぜってぇしいたけ入れんなよ。」
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そう言って、またくるんと前を向き
さっきと同じ様に私の少し前を歩く。
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そうだった、
カズにぃ、しいたけ嫌いなんだった。
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そんな事を思っていたら、
目の端に、玉ねぎが映る。
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オムライスに入れようと、玉ねぎに手を伸ばそうとしたら
その行動に気付いたカズにぃは、それを静止させる。
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掴まれた腕の意味が分からなくて、
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「・・玉ねぎ、嫌？」
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恐る恐る聞くと、
首を横にふるふると動かす。
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和也「違う、・・ﾁｰｽﾞが先。」
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そんな、子供っぽい我儘を
甘えたような声でおねだりするから
"わかった"としか言いようがないじゃない。
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どうせ
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カズにぃの事だから
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分かってしてるんでしょ？
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昔から、
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私は、カズにぃの押しに弱いってこと。
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作成日時：2012年3月11日 14時
