あれから ページ18
……
あの日から
わたしは怒涛の勢いで仕事をこなしていった
その出来事を忘れるにはちょうどいいくらいに忙しくて、わたしはそのことに関して深く考えないでいた。
ちょっと詰め込みすぎたかも、、
最近、少しめまいがする。
今日は25時30分まで仕事があった。
『寝れてないなぁ…』
ぐったりしたまま、自宅マンションについた
番号を押して
エレベーターを上がる
ゆっくりゆっくり変わる景色はいつもと変わらない
ふーっと、肩の荷を降ろすように息を吐いた
部屋の前にいくと、ドアの前に置かれた
ひとつの紙袋
『………なに、これ』
可愛らしいピンクの紙袋
中は見えないようにマスキングテープで止められている
『 っ…… 、』
ふと、あの手紙が脳裏を過った
もし、手紙を書いた人が置いてたら。
もし家が知られていたら。
途端に怖くなって、体の芯から冷えているのがわかった
『っ、… 』
ガチっと根が生えたように足が動かなくて、
その場に固まった
『 ……A?』
歩いてきた方から、優しい、大好きな声が聞こえて、咄嗟に紙袋を傘立ての裏に避けた
中身がわからないのに、彼の前に出せない
私ってこんなに早く動けるんだ。
びっくりしながら声の方を向いた
登「なにしてんの……こんなとこで」
『…鍵、なかなか開けられなくて』
登「…ほら、開けるから」
私の手にある鍵を優しく取って、ドアを開けた
そもそも、何で臣がいるの?
約束なんてしてないのに
登「…久しぶり?」
『久しぶり、だよ』
登「…全然時間合わせてあげられなくてごめん」
フルフルと首を振った
こんなの、どっちも悪くないんだよ
私も臣もお仕事は大切だから。
登「ちゃんと寝てる?」
親指でなぞるようにわたしのうっすらとあるクマを撫でた
メイクで隠してきたクマも、臣にはバレてしまう
『…臣こそ、ちゃんと食べてる?』
登「ちゃんと食ってるよ」
わざわざAが作ってくれたんだから。
なんて言ってのけてしまう。
『…明日は?』
登「俺はオフ」
『そっかぁ…わたしは撮影だ』
登「ん。……最近さ、大丈夫?」
『 ……なにが?』
登「ドラマも並行してるでしょ?」
体調とかさ。
なんて語尾を濁してしまう彼。
……
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作者名:miu x他2人 | 作成日時:2019年3月21日 23時