人を信じられない夢主と、信じてほしいと思っている街の若者(1) ページ3
「う…ああ…」
そうだ、私…捨てられたんだ…
私は国の貴族…だった。
婚約を破棄され、その上、平民に王子を取られてしまった。
そんな私に愛想を尽かしたお母様、お父様は、私を捨てたのだ。
母・父「もうあなたは要らない。」
そうして捨てられた私は…
「う゛…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
こんな…こんなところに…
私の名前はA。
前の名前は、A・マージ・サーティ。
有力貴族の娘だった。
ここは治安が悪いで有名な地区。
お母様も、お父様も、私をここに放っておけば、いずれタヒぬとでも思ったのだろう。
つらい。
見捨てられたんだ…
平民ごときが…とか思っている暇もない。
今は私も平民だ。
有名で有力な家の人間ではなくなったんだ。
(くぅぅぅ)
お腹が空いた。
かといってボロボロの服を着て、この地区から出るわけにはいかない。
出たとしても、皆に無視されるからだ。
こんなみすぼらしい格好をしていると、街の人は物すら売ってくれない。
でも、少しだけでもと、希望を持ち、街の方へと私は向かう。
ーー…
街へ出る直前のところ。なんだか騒がしい。
「スープ!スープ配ってまーす!!」
…?
数人、明らかに街の人が、この地区の人々に、食料を分け与えている…?
この状況が、私は飲み込めなかった。
街の人は、みんな、私達に冷たく当たる。
ずっと、そう思っていた。
私より3歳ほど若そうな、一人の街の若者が、こちらによって来た。
「そこのお姉さんも、1杯スープはいかが?お口に合うかはわかりませんけれど…」
こんな私にも、敬意を払ってくれているのがわかる。
「私はお金を持っていないのです。だからお金は巻き上げられませんよ?」
私はキツめの口調で言った。
お金目的の人間の目には見えなかった。
けれども、私を騙しているかもしれない。
いつのまにか、私は疑心暗鬼になっていた。
だれも、信じられない。
どうせみんな、捨てるんだ。
私のことなんて。
「お金なんて、必要ありませんよ?」
本当に不思議そうな声色だった。
私からお金をもらうなんて概念が無いような。
そんな、声色だった。
けれど、信じられない。
こんなに親切にしてくれる。
だからこそ、信じられないのだ。
「どうせ…どうせ!!
何もかも奪い取って、要らなくなった私を捨てるのでしょう。」
もうなにも…信じられない…!
つづく…
作者↓
サーティは最低から取りました(文字数)
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作者名:しょこらけーき | 作成日時:2023年3月29日 14時