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「……いてっ、めっちゃしみるそこ痛い痛い」
「災難でしたね。痛いのは頑張ってください」
「近海先生辛辣じゃない????」
消毒液を脱脂綿に湿らせ、容赦なく傷口に押し当てる。…その流れを何回か繰り返した。近海先生、優しいのに治療の時痛いって言ってもやめてくれないんだよな。前職歯医者の先生なのかな。
開会式直後の大玉。チームに迷惑をかけたわけではなく、むしろ好成績は残せた。…のだけど、最後の最後、私が思いっきり足を挫いて待機もまもなく救護班に肩を預けて救護テントに直行。おかげでこの後の部活対抗リレーに出れなくなってしまった。…もちろん美術部なのでネタ枠である。
「はい、できましたよ。…でも不必要に動かさないで、ね。わかりました?」
「はあい……」
執拗にも思えるほどの包帯。…まあ、突然生徒の足が青あざと擦り傷であんなことになっていたら過保護にしたくなるのは当然かもしれない。まだ傷が軽い方の脚に体重を乗せて、ゆっくりと歩く。あっちではもう応援団がはじまりかけているらしい。くそう、徒競走あっという間に終わりやがって。応援団楽しみにしてるんだからな、こちとら。
「……あ、お兄ちゃんの、見てない」
「Aちゃん?」
「え」
聞き覚えのある声にあたりを見回す。そういえば、以前の団長紹介で出てたような気もする。180cmあるあの人のことだから、見つけやすいとは思うんだけど。
「こっちだよ。後ろ」
「ウワ!?…レ、レウ先輩。めちゃびっくりしましたよ私。
「え、ほんと?それはごめん。いや、怪我してるみたいだったからつい声かけたくなっちゃったんだ。」
頬を照れ臭そうに掻き、はにかむレウ先輩を見て天使だと思わない人がいるだろうか?いや、いない(反語)。
この人のどこから声量と青鬼部の方から聞こえる独特な叫び声が出てくるのか、いまだに疑問ではある。
「大丈夫ですよ、近海先生に処置していただいたので……」
「そっか、なら大丈夫か。…痛いよね、近海先生の治療。」
先輩は前述の仕草のまま、乾いた笑いをして「間違いなく体には良いんだけど」と付け加えた。……同じように感じてる人がいてよかった。同じ場所に黄色いウサギのパーカーとか、きょー先輩のそっくりさんっぽい人が居たのに全然表情変えないどころか談笑しながらしてたから、私がおかしいのかと思ってた。
……この学校、レウ先輩と白湯ちゃんしかまともな人がいないのかもしれない。
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badendingが好きすぎる人(プロフ) - ハ?!いつの間にか4周シテイル?! めちゃくそ面白いです。‼︎ (2月1日 0時) (レス) @page28 id: 724ff2d77d (このIDを非表示/違反報告)
なるる☆ - もうこの小説5週目ですよ面白すぎません?続きが出るの楽しみにしています! (2022年1月12日 18時) (レス) @page28 id: bc65b9d234 (このIDを非表示/違反報告)
るきあ(プロフ) - やばいです好きすぎますオタク心を分かってるコンさん小説は需要しかなさすぎます!!!ありがとう (2022年1月12日 3時) (レス) @page28 id: e2065bbc2b (このIDを非表示/違反報告)
りあみ - 夢主ちゃんがすっごい面白いwあとこんちゃんが純粋でw早く付き合って幸せに爆散しろと思いました(^▽^)/ (2021年11月24日 22時) (レス) @page28 id: 0c25e5a716 (このIDを非表示/違反報告)
くろいろ - はじめまして、好きです。いやまじでなんなんですか神なんですか?アッスイマセン更新頑張ってください!応援してます! (2021年8月11日 15時) (レス) id: 30e4e21efe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょごす。 | 作成日時:2021年7月8日 5時