日常 黄色 ページ10
※兄妹
『ねぇぺいんと。』
「何だー？愛しの妹Aー！！」
苦しいほどぎゅーっと抱きしめてくるこの人はぺいんと。
私の兄
───でシスコンだ。
妹である私が大好きで、この歳になっても妹と結婚するーとか言ってる人。
冗談だと思って流してるけど…なんか、この兄ならやりかねないような気がする。
『とりあえず離れてよ。』
「えー…嫌だ、最近ぎゅーしてない。」
『……じゃあせめて緩めて、苦しい。』
「まぁ……それなら百歩譲っていいよ。」
本当は離れたいんだけど……仕方ない。緩めてくれたからいいか。
ていうか…この状況、傍から見たらただバカップルじゃん。抱きしめ合うとか。
いやいや待て待て。こんな兄が彼氏とか一番嫌なんだけど。
『んで……話進めるけどさ、ぺいんと。』
「何だー？」
『私、彼氏出来た。』
「そうかぁ、彼氏……
───はぁ！？彼氏！？！？え！？！？」
『うっっっるさ……』
チンパンジーのように大きいぺいんとの声が、部屋に響く。
そんなに私に彼氏出来たことに驚くか？
「な、何で！？誰だよそいつ！？！？どこで知り合った！！！」
『えーっと……1個ずつ答えると…
何で彼氏作ったかって、当たり前でしょ？高校生に私もなったんだから、彼氏ぐらい作りたい。
お相手は、ぺいんとも知ってるクロノアさん。
紹介してくれた時、完全私のどタイプで一目惚れしたけど、中々告白できなくてさ……
そしたら、クロノアさんから告白してくれたの！両片思いだったんだよw』
そう、クロノアさんは本当に完全私のどタイプだった。
兄とは違って！！顔はかっこいいけど、可愛いところもあって…めちゃくちゃ優しい。
もう、惹かれちゃうよね。何で今まで彼女出来なかったのか、不思議に思うぐらい。
私の惚気話を聞いたぺいんとは、だんだん抱きしめていた腕の力が抜けていった。
よし、これで離れられる。
「は、は……？く、クロ…のあ、さん…？」
『そう、クロノアさんだよ。びっくりしすぎw
ってことで、これからはあんまベタベタしないでね。抱きしめるのも当分禁止。
クロノアさんに誤解されて、別れを告げられたら嫌だから。
あぁ、後…毎週土曜日はクロノアさんの家に泊まることになったから。家帰らないから、夕飯いらない。』
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