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回した腕に力を込め、折れてしまいそうな身体を強く抱きしめた。
そうすることで、この自分の揺れている気持ちを抑えられる気がして。
「せんせ、」
「....ごめん」
「...やだ、、」
涙声になる声は、やっぱり俺の心臓を小さく傷つける。
特別な感情なんて、無いはずなのに。
「分かってるけど、分からない」
「....」
伊野尾のか細い声は俺の肩に吸い込まれ、
余計に俺を戸惑わせた。
相手が女性だったら、女子生徒だったら、
俺はどうしていたのだろう。
他の男子生徒だったら、こんなに気持ちが揺れることなんて、ないのだろうか。
色々な自分への問いかけが脳内を掻き乱し、思わず目を瞑る。
どうすれば、。
「キス、して」
「は、」
突然の少し低い声に、咄嗟に反応した自分の声は随分と間抜けなものだった。
涙声とは打って変わって、。
「キスして、先生。お願い」
「待てって、....そんなこと出来るわけないだろ」
「してよ、....して、」
「いのおっ」
「やだっ!!」
ドンッ、と肩を押され、今までくっついていた身体が無理矢理離れた。
ギシリと古い床が音を鳴らし、伊野尾の方を見ると、
「なにしてんだよ、」
セーターを脱ぎ、ネクタイを雑に緩め、ブチッ...とシャツのボタンを引きちぎるように開けた。
そして、
「おいっ」
カチャカチャ...となったベルトの音で想像がついた、
この時間、他のクラスはまだ三者面談をやっているところがあることを、
そこには当然、教師、保護者、生徒がいることを、
ここでこのまま、大声を出されたら。
「待てって!」
「っ....」
咄嗟に腕を掴み、元のように自分の方へと伊野尾を引き寄せた。
声が出ないように、頭を自分の肩に押し付けて。
暴れようとする身体を思いきり抱きしめた。
「...落ち着けって」
「ふ、ぅ、....っ、」
漏れた声は、また涙で濡れていた。
ゆっくりと肩から頭を離し、真っ赤になった瞳と目を合わせる。
「ん、........」
そしてそのまま、唇を重ねた。
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96(プロフ) - hkin大好きなので新しいお話のupとても嬉しいです!そして何よりお話の内容がとても素敵でした!最後のhkくんとinくんの会話にときめいてます!笑これからも応援しております! (2018年11月25日 0時) (レス) id: 895be46096 (このIDを非表示/違反報告)
ぽい(プロフ) - 青空が違うだ!と読みながら嬉しくなってしまいました!!他の楽曲でもぜひ見てみたいです♪ (2018年11月19日 18時) (レス) id: 4bb11b3478 (このIDを非表示/違反報告)
unicorn(プロフ) - 青空が違うってすごくいい曲ですよね!欅オタなので題材になってて見ててすごく面白かったです!青い鳥でも欅のことお話しされてるの見て同士さんだな〜って勝手に親近感わいちゃってます笑これからも作品楽しみにしてます! (2018年11月19日 0時) (レス) id: 751fcc2c4e (このIDを非表示/違反報告)
こはNo.2 - あとすみません!!小説を書いてみたいのですが真ん中に文字を書くのは空白をおけばいいんですか?(このお話のメインページみたいに?) (2018年11月8日 17時) (レス) id: 797d2e6d06 (このIDを非表示/違反報告)
こはNo.3 - いつも面白い作品をありがとうございます!!楽しみにさせてもらってます!!・・・すみません「壊れて見せて」のパスを教えて頂いても宜しいですか? (2018年11月2日 20時) (レス) id: 7f7ef9f2b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mapii | 作者ホームページ:@maiip_226
作成日時:2018年8月14日 17時