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なんて返していいのかわからず、黙ってしまった俺を、ゆっくりと大きな瞳が見上げた。

パチリと合った目

いつもはなんとも思わないのに、何故か心臓が1度だけ、ドクンと跳ね上がる。


「どういう意味か、分からない?」
「いや、....」
「ずっと、そう思ってた。先生のそばにいたいって、....1年の時から、ずっとそれだけ考えてた」
「伊野尾、」


ぎゅっ....と背中に回された手に力が入り、シャツをくしゃりと掴まれるのが分かった。

伊野尾が、目を逸らしてくれない。

俺は、固まったようにその目から逃れられなかった。


「大学に行ったら、先生俺と一緒にいてくれる?」
「それは、」
「....それとも、男で、教え子な俺なんて....気持ち悪い?」


ツキン....


そう小さく、傷ついた気がした。

なんで?


わからない。


でも多分、
その言葉を発した伊野尾が、傷ついた顔をしたから


「そんなこと言うなよ、....気持ち悪いとかは、....無いから」


だから、そう言ってしまっていた。

柔らかい髪の毛を、頭を撫でている自分がいた。

俺を見つめる伊野尾の瞳がゆらゆらと揺れ、前髪で見えない眉がきゅっと真ん中に寄った。


「俺は、先生の生徒でしかない?....教え子にしか、なれない?」
「そりゃ、....いきなりそんな、」
「今から....俺を恋愛対象として見れない?」
「....」


こんなに伊野尾が喋っているのを見るのは初めてだった。
声をちゃんと聞くのも。

だからその声に押されて、俺は口が吃るばかりで。


「先生、好き。俺、卒業してからも先生といたい。
それが俺の今の希望進路。」


ずっと逸らされていなかった瞳から、涙が零れ、そして俺の肩に顔を押し付けた。

それを押し返せない俺は、
"拒否"を示せない俺は、

どうしてこんなに気持ちが揺れてる?


今までただの"生徒"だとしか思っていなかったこいつを。


どうして、俺はこの腕を細い体に回している?





カァ....




外でそう、カラスが鳴いた。








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96(プロフ) - hkin大好きなので新しいお話のupとても嬉しいです!そして何よりお話の内容がとても素敵でした!最後のhkくんとinくんの会話にときめいてます!笑これからも応援しております! (2018年11月25日 0時) (レス) id: 895be46096 (このIDを非表示/違反報告)
ぽい(プロフ) - 青空が違うだ!と読みながら嬉しくなってしまいました!!他の楽曲でもぜひ見てみたいです♪ (2018年11月19日 18時) (レス) id: 4bb11b3478 (このIDを非表示/違反報告)
unicorn(プロフ) - 青空が違うってすごくいい曲ですよね!欅オタなので題材になってて見ててすごく面白かったです!青い鳥でも欅のことお話しされてるの見て同士さんだな〜って勝手に親近感わいちゃってます笑これからも作品楽しみにしてます! (2018年11月19日 0時) (レス) id: 751fcc2c4e (このIDを非表示/違反報告)
こはNo.2 - あとすみません!!小説を書いてみたいのですが真ん中に文字を書くのは空白をおけばいいんですか?(このお話のメインページみたいに?) (2018年11月8日 17時) (レス) id: 797d2e6d06 (このIDを非表示/違反報告)
こはNo.3 - いつも面白い作品をありがとうございます!!楽しみにさせてもらってます!!・・・すみません「壊れて見せて」のパスを教えて頂いても宜しいですか? (2018年11月2日 20時) (レス) id: 7f7ef9f2b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mapii | 作者ホームページ:@maiip_226  
作成日時:2018年8月14日 17時

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