不確かシンドローム

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ひまわりは太陽に向かって思いっきり笑う。
みんな同じ空に。


────同じ、空に。







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自分を避けて歩く、人、人、人、


肩がドンッとぶつかっては、"すみません"と言おうとしても、もう相手はいない。

チカチカと光る信号、忙しなく歩く人々、
俺はこのまま飲まれてしまうのではないか、そんな恐怖が襲ってブルっと体が震えた。


『久しぶりに声聞いたわ〜』


低く見える空



『...ケホッ、....ん"っ、....あ、ごめん、』



自分がいつも見ているものと同じはずなのに、
違うように見えた。



『こっち、大貴がいるところより寒いのかも』



はは、と笑ったと同時に出た何回目かの空咳。
電話の向こうの恋人は、無理して笑ってるように聞こえた。



【次は、○○駅、○○駅、○○線にお乗り換えの方は....】



ハッ、としてスマホの画面と聞こえてくる声に耳を澄ます。

危ない、乗り過ごすところだった。


聞きなれない標準語が飛び交う中、頭が疲れてしまってつい電車で座ると眠ってしまっていた。

というか、こっちは電車がびっくりするほど混んでる。
でも、ひとつ乗り遅れても数分もしないうちにすぐに次の電車が来る。

それなのに、なんで皆あんなにせかせか歩くのだろう。


田舎生まれ田舎育ちの田舎者には、到底理解し難いものだった。




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｢この駅、か、｣


上京する前に渡されていた住所から、最寄り駅を割り出して、地元から何個も電車を乗り継いでやっと来た。

乗り換えは間違えるし、反対方向行くし、人が多すぎて降りたい駅で降りられないし、散々だったけど、
なんとか、たどり着いた。


思ったよりも駅は静かで、人もそんなにいなかった。

でも田舎とは違う。

コンビニ沢山あるし、なんか、ちょっとしたモールも付いてる。しかもオシャレ。

....さすが東京だ。



｢スマホに感謝だわ....｣


地図アプリを頼りに歩き出す。

4月、夢を追いかけ地元を離れて上京して行った、恋人の元へ。









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