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彼が眠ってから二時間弱、
そろそろ夕飯の準備をするため、ぐっすり眠っていた恋人を起こしレッスン室を出る。
空を見上げれば、もう日が沈みかけていた。
ーーーvorwarts…
<なんで起こさなかったわけ?普通起こすでしょ。>
<放置して一人で先帰るとか、ひでー>
ーーー
数日前、何度起こしても起きなかった彼を置いて先に自宅に戻れば、彼は帰って来るなり不機嫌そうにそう言い放った。
二人の家までの3分間、隣にはまだ寝足りないのか気だるそうに歩く恋人、
"そんなに眠いなら家で寝てればいいのに"なんて可愛げのないことは、思っていた以上に寂しがり屋な恋人には言わないでおこう。
「ただいま。」
篤「おかえり。」
二人で揃って自宅に入る時、"ただいま"と言う私の隣で、彼が言う言葉は決まって"ただいま"ではなく"おかえり"。
それがなんだか、心地よくて、
"おじゃましてます"
「?」
いつもなら恋人の"おかえり"しか聴こえないはずの家から、
聴き覚えのない声の"おじゃましてます"
不思議に思い彼を見れば、我関せずにリビングへと進んでいく。
『あ、初めまして。』
彼の後に続いてリビングに入れば、黒いソファには紳士的な笑みを浮かべ頭を下げる男性が一人。
「…あ…初めまして、」
私もつられるように頭を下げれば、"長谷部です。"とまたしても紳士的に手を差し出した男性と握手を交わした。
篤「あー、一応キャプテンの長谷川さん。」
長「部です、川じゃなくて長谷部。」
"ちゃんと紹介しろよ"と、もうすっかりソファに寝そべっている彼につっこむその人を見て、
なんとなく聴き覚えのある名前に思考を巡らせる、
ーーーvorwarts…
<篠崎さんて、クソ真面目ってやつ?>
<俺の知り合いにも一人いるけど。長谷部って人ね。>
ーーー
篤「この人急に家来るとか言い出して、」
長「うっちーが急に彼女と住んでるとか言い出すからだろ。笑」
ーーーvorwarts…
<つまんねーの、真面目過ぎて。もう一皮破れよって。笑>
ーーー
「…あ、いつも彼からお話聞いていました。」
長「え?なんか嫌なこと言われてそうだな。笑」
「いえ、とんでもない。笑」
私がつまらないことをする度に、"長谷部かっ!"とつっこまれていたことを思い出す。
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いく(プロフ) - ちなみに、わたしもずっとピアノをやっているので出てくる作品がお気に入りだったりして楽しいです。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - こんなにひき込まれた作品は初めてです。ヒロインが幼馴染といる時に内田さんの言葉一つ一つを思い出してしまうところ、涙が止まりませんでした。続編、読み進めようと思います。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» こんばんは!素っ気ない内田さんでも、主人公は結構愛情をストレートに表現するので大丈夫なのかもしれません(^^)最後の伏線、だんだんと明らかになっていく予定です。なにが二人を待ち受けているのか…(._.)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - neneさん» ありがとうございます!同棲生活、順調な滑り出しです(^^)車をサラッと購入って…もう内田さんにしか出来ませんよね(^^)続編作成致しましたので、これからの二人がどうなるのか是非覗きにいらしてください!いつ温かいお言葉をありがとうございますm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - うっちーさん» あちらの作品も気に入って頂けたみたいで嬉しいです(*^^*)ずっと更新滞ってしまっていますが、そろそろ更新しないとですね(・_・;こちらのお話は続編作成致しましたので、是非覗きにいらしてください(^-^)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:laiz | 作成日時:2013年10月21日 20時