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篤「ね、」
「ん?」
篤「喧嘩とかすると思う?」
「え?笑」
私の髪を優しく梳かしながら、優しい彼の声が鼓膜を震わせる。
篤「よく言うでしょ。一緒に暮らすと今まで見えなかった嫌なとこまで見えてくるって。」
「うん。見えることも多くなるよね、きっと。笑」
唐突な質問に笑いながら答えた私に、"真面目に話してんですけど"と彼は何故か不満気だ。
篤「まぁ確かに、Aの小言が増えると思うと結構キツいわ。笑」
「そんなに言ってないと思うけど、小言、」
篤「言ってるでしょ、充分。」
「…でも私も、食器棚の扉開けたら開けっ放しとか、歯磨き粉のキャップ閉めないとか、それが毎日だと思うとちょっと心配。」
篤「ほら出た、小言。笑」
クスクス笑う二人の声が、心地よい、
篤「これがいつか笑い事じゃ済まなくなんじゃね?笑」
「かもしれないね。笑」
いつかはするかもしれない喧嘩の話さえ、今は少し楽しみで、
静かになった寝室の中、不意に落とされた口付けは、重なるごとに深さを増してゆく、
合間合間にクスッと聴こえる照れ笑いが、私たちらしくて好きな音色、
ゆっくりと全身に広がってゆく恋人の体温を感じながら、新しい夜に愛を重ね合ったー
ーーー
篤「んんー」
「ふっ、良く寝たね。」
シャカシャカと歯ブラシの音をたててキッチンに入ってくる彼の、聴き取れない"おはよ"も好き、
篤「おはよ。」
歯ブラシを置いてキッチンに戻ってきた彼の、二度目の"おはよ"も好き、
「あ、また、」
篤「しつこい。」
何度言ってもなおらない、行儀の悪いつまみ食いさえ好き、
「「いただきます。」」
昼までぐっすり眠っていた彼の、相変わらずの寝癖も好きだ。
"好き"なものに包まれる一日の始まりは、
"特別な一日"の始まり。
「夜ご飯作っておいたから、温めて食べてね。」
篤「ん。」
私はこれから講師の仕事、その後はそのままBarへと向かう。
"よく働くね"なんて言っている彼は、今日も一日お休みらしい。
「そうだ、」
篤「ん?」
「今度時間ある時付き合ってもらってもいい?」
篤「どこに?」
「車買おうと思って。毎日タクシーで通うのもあれだし、」
ドイツに来てずっと見送ってきた車の購入。
さすがに職場が遠くなったいま、車なしではとても生活出来ない。
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いく(プロフ) - ちなみに、わたしもずっとピアノをやっているので出てくる作品がお気に入りだったりして楽しいです。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - こんなにひき込まれた作品は初めてです。ヒロインが幼馴染といる時に内田さんの言葉一つ一つを思い出してしまうところ、涙が止まりませんでした。続編、読み進めようと思います。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» こんばんは!素っ気ない内田さんでも、主人公は結構愛情をストレートに表現するので大丈夫なのかもしれません(^^)最後の伏線、だんだんと明らかになっていく予定です。なにが二人を待ち受けているのか…(._.)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - neneさん» ありがとうございます!同棲生活、順調な滑り出しです(^^)車をサラッと購入って…もう内田さんにしか出来ませんよね(^^)続編作成致しましたので、これからの二人がどうなるのか是非覗きにいらしてください!いつ温かいお言葉をありがとうございますm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - うっちーさん» あちらの作品も気に入って頂けたみたいで嬉しいです(*^^*)ずっと更新滞ってしまっていますが、そろそろ更新しないとですね(・_・;こちらのお話は続編作成致しましたので、是非覗きにいらしてください(^-^)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:laiz | 作成日時:2013年10月21日 20時