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「ここにしよっか。」





一通り内覧を終え彼を見ると、良い部屋が見つかってウキウキしていた私とは対象的に、不機嫌そうにブスッとしている恋人。



どうやら、何かが決定的に気に入らなかったようだ。





「…ダメだった?」



篤「ダメでしょ、」

篤「どう考えたって、ピアノの部屋にあのソファ置けねーじゃん。」



「え?」





恋人の予想外の言葉に、"あのソファ"の意味を暫し考える、





「あのソファって…私の家の?」

篤「そ。」

「持ってくるの?」

篤「は?当たり前でしょ。」





すっかり処分するものだと思っていたソファの話題に少し驚いていると、彼は逆に私の質問に驚いている様子。





篤「あのソファなかったらどうするわけ?」

篤「俺に床で寝ろって?」



「………」





ーーーvorwarts…



<練習終わりにAの飯食って、誰かさんが必死でピアノ練習してる横で俺はぐーすか寝て、>

<俺の最高にベストな一日なんだけど、ダメ?>



ーーー





篤「…別にここが良いならそれでいいけど、」

篤「練習はかどんなくて支配人に怒られても知らないよ、俺。」





ーーーvorwarts…



<早く帰って来ないかなって思ってました。>

<内田さんがソファで眠ってくれてる方が、ピアノの練習がはかどる気がするので、>



ーーー





「………」





不機嫌だった恋人の顔は、だんだん照れ臭そうに歪んでいく。

そしてきっと私の顔は、幸福のあまり緩みきっているはず。





ピアノの練習室を別に借りるということは、当然のように私は一人でそこに行くものだと思っていた。

だからもう、恋人の寝息を聴きながらピアノを弾くことはないのだと、



でも彼は、当然のようにあのソファで昼寝をしようと考えていてくれたんだ。

彼がぐっすり眠るためと、私の練習がはかどるように、





篤「で、どうすんの?」

「…やっぱり、もう一つの部屋見に行ってもいい?」

篤「…ん。」





不機嫌な声で、でも満足気に頷いた彼。



私にパッと背中を向け、

"ここはダメだ"
"ピアノの横にソファが置けないと"

と少しぎこちないドイツ語で不動産屋に告げている後ろ姿を、なにより愛しく思った、

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いく(プロフ) - ちなみに、わたしもずっとピアノをやっているので出てくる作品がお気に入りだったりして楽しいです。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - こんなにひき込まれた作品は初めてです。ヒロインが幼馴染といる時に内田さんの言葉一つ一つを思い出してしまうところ、涙が止まりませんでした。続編、読み進めようと思います。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» こんばんは!素っ気ない内田さんでも、主人公は結構愛情をストレートに表現するので大丈夫なのかもしれません(^^)最後の伏線、だんだんと明らかになっていく予定です。なにが二人を待ち受けているのか…(._.)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - neneさん» ありがとうございます!同棲生活、順調な滑り出しです(^^)車をサラッと購入って…もう内田さんにしか出来ませんよね(^^)続編作成致しましたので、これからの二人がどうなるのか是非覗きにいらしてください!いつ温かいお言葉をありがとうございますm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - うっちーさん» あちらの作品も気に入って頂けたみたいで嬉しいです(*^^*)ずっと更新滞ってしまっていますが、そろそろ更新しないとですね(・_・;こちらのお話は続編作成致しましたので、是非覗きにいらしてください(^-^)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2013年10月21日 20時

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