20.Atsuto side ページ20
「篤人くん、もう50分だよ?」
篤「わかってるー」
キッチンから聴こえるのは、"遅刻するよ"の彼女からの忠告。
朝食の後片付けをせっせとしている彼女の姿を横目に、食器がカチャカチャと鳴る音を聴きながら練習に向かう準備をするのも、
「お財布持った?」
篤「ん。」
「iPhoneは?」
篤「持った。」
「気をつけてね。」
篤「なにを?」
「車の運転。」
篤「あー、はいはい。」
靴を履いている間、背中に立ってるのはお母さんなんじゃないかっていう錯覚をおこす質問に適当に返事をするのも、
俺の最高にベストな朝には欠かせない一コマ。
「いってらっしゃい。」
篤「いってきます。」
扉を閉めるついでに彼女を見れば、にっこり微笑みながら小さく手を振っていて、
篤「あ、昼飯、」
「うん。作って帰るね。笑」
篤「どうも。笑」
そんな彼女に小さく右手を上げてアパートの階段を降りた。
見上げたのはよく見慣れたアパート。
散々見てきたこの家に、もう少ししたら帰ってくる人が一人増える。
"作って帰るね"が、"作っておくね"に変わるのかと思うと、勝手に頬が緩みそうになって、
篤「………」
両手で頬を挟み、元に戻すように顔をしかめながら車に乗り込んだ。
アパートから目と鼻の先にあった"ピアノOKな部屋"に、"あ、ここか"なんて思いながらハンドルを切れば、
折角元に戻したはずの頬はまた緩んで、
別に助手席に麻也が乗ってるわけでもないし、もう諦めて勝手に緩ませておくことにする。
3月27日、
二年連続で俺の誕生日は、彼女のおかげで"特別な一日"になった。
まぁこの一年間、俺にとっては全部がそうだったんだけど、
"まぁどっか出掛けたりすんのもいいけどさ、一年に一回でいいや、俺は"
"Aの誕生日だけで"
半年も先の恋人の誕生日、
"あと何フィルがあんの?"なんて今から考えてる自分が可笑しくなって、一人小さな笑い声を漏らした、
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いく(プロフ) - ちなみに、わたしもずっとピアノをやっているので出てくる作品がお気に入りだったりして楽しいです。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - こんなにひき込まれた作品は初めてです。ヒロインが幼馴染といる時に内田さんの言葉一つ一つを思い出してしまうところ、涙が止まりませんでした。続編、読み進めようと思います。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» こんばんは!素っ気ない内田さんでも、主人公は結構愛情をストレートに表現するので大丈夫なのかもしれません(^^)最後の伏線、だんだんと明らかになっていく予定です。なにが二人を待ち受けているのか…(._.)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - neneさん» ありがとうございます!同棲生活、順調な滑り出しです(^^)車をサラッと購入って…もう内田さんにしか出来ませんよね(^^)続編作成致しましたので、これからの二人がどうなるのか是非覗きにいらしてください!いつ温かいお言葉をありがとうございますm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - うっちーさん» あちらの作品も気に入って頂けたみたいで嬉しいです(*^^*)ずっと更新滞ってしまっていますが、そろそろ更新しないとですね(・_・;こちらのお話は続編作成致しましたので、是非覗きにいらしてください(^-^)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:laiz | 作成日時:2013年10月21日 20時