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篤「でもベストだけどね。俺にとっちゃ特別なんだけど、」

「え?」



篤「練習終わりにAの飯食って、誰かさんが必死でピアノ練習してる横で俺はぐーすか寝て、」

篤「たまに買いもしない無意味な買い物付き合わされて、絶対答えねーのに"これ可愛い?"とか毎回聞かれんの。笑」

篤「で、いい背もたれに寄りかかりながらYouTubeで癒される。」



篤「俺の最高にベストな一日なんだけど、ダメ?」

「………」





そう言われてしまえば何も言えない。

だって、こんなに嬉しい言葉はあるのだろうか、



いつもゆっくり流れる"なんてことない日常"を、彼は"特別"だと思ってくれていて、



それを一年に一度の大切な日に、

彼は選んでくれたんだ。





篤「まだ何かご不満ですか?笑」

「…ううん。」





小さく首を振れば、彼は優しく微笑みながら髪を梳いてくれて、





篤「まぁどっか遠出したりすんのもいいけどさ、一年に一回でいいや、俺は。」





"Aの誕生日だけで"と、少し照れ臭そうにくしゃっと笑った。



自分の誕生日ですら私に嬉しい言葉ばかりをくれる彼に、ちゃんと私の気持ちは贈れているだろうか、





「篤人くん、お誕生日おめでとう。」

篤「どうも。」

「"好き"って言ってもいい?」

篤「駄目。」

「じゃあ、24歳の一年も傍にいさせて下さい。」

篤「まじ黙れ、笑」





二人でくすくす笑い合えば、重なったそれは、

"特別な一日"の夜に溶けていった、









言葉で"好き"とは一度も伝えてくれたことはない彼だけど、それでもこんなに満たされているのは、

いつもくれる不器用な言葉たちと、たまに重ねる身体の優しい温もりが心に染みるから。



広いベッドの右側に少し荒い呼吸のまま寝転んだ彼は、そっと私を抱き寄せてくれる。





篤「お父さんたちどこ泊まんの?」

「私が働いてるホテル。もう予約もしておいた。」

篤「あー、なるほどね。」





甘く重なり合った後も、別に愛の言葉を囁き合うわけではないところも彼らしくて私は好きで、





篤「試合負けたら俺殴られっかな?笑」

「そんな怖くないよ。笑」

篤「そう?娘に優しい分、俺には厳しい気がするけど、笑」

「そうかな?笑」





"嘘。すげー優しい"とクスクス笑う恋人の声が、優しく鼓膜を刺激する。

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いく(プロフ) - ちなみに、わたしもずっとピアノをやっているので出てくる作品がお気に入りだったりして楽しいです。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - こんなにひき込まれた作品は初めてです。ヒロインが幼馴染といる時に内田さんの言葉一つ一つを思い出してしまうところ、涙が止まりませんでした。続編、読み進めようと思います。 (2014年10月26日 18時) (レス) id: 90fb3cb615 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» こんばんは!素っ気ない内田さんでも、主人公は結構愛情をストレートに表現するので大丈夫なのかもしれません(^^)最後の伏線、だんだんと明らかになっていく予定です。なにが二人を待ち受けているのか…(._.)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - neneさん» ありがとうございます!同棲生活、順調な滑り出しです(^^)車をサラッと購入って…もう内田さんにしか出来ませんよね(^^)続編作成致しましたので、これからの二人がどうなるのか是非覗きにいらしてください!いつ温かいお言葉をありがとうございますm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - うっちーさん» あちらの作品も気に入って頂けたみたいで嬉しいです(*^^*)ずっと更新滞ってしまっていますが、そろそろ更新しないとですね(・_・;こちらのお話は続編作成致しましたので、是非覗きにいらしてください(^-^)いつも温かいお言葉をありがとうございましたm(_ _)m (2013年11月14日 20時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:laiz | 作成日時:2013年10月21日 20時

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