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あの後、帰ろうとした彼を引き止めたのは意外にも父だった。
"……なんだ、泊まっていかないのか"
後から玄関にやって来た父は、もうすでに靴を履いていた彼にボソっとそう言うと、
"酒くらい付き合いなさい"とそそくさとリビングへと戻っていった。
そんな不器用な歓迎の仕方に、
母と、彼と、三人で笑い合ったのは数時間前のこと。
慣れないお酒に顔を赤くしている恋人が心配になりながらも、少し上機嫌に熱燗を煽っていた父の姿が嬉しくて、
テーブルに広げられたチーズアーモンドとごんじりを執拗に彼に勧める父に、つい笑ってしまったのも心が温まっていくのがわかったから。
「あれ、髪乾かして来たの?」
篤「ちゃんとドライヤー用意されてたから、乾かさなきゃマズイと思って、笑」
日付も変わりそうなその頃、
やっと父に解放された彼が、風呂上がりにも関わらず乾いた髪で私の部屋にやってきた。
母が"お父さん用に買っておいたものが調度あるのよ"と用意した寝巻きは、チェック柄の可愛いパジャマで、
いつもと違う恋人の姿に、堪えきれずについ笑い声が漏れてしまう。
篤「…笑ってんな。」
「ごめん、つい。笑」
おさまらない笑い声に不満気に私の頬をつねった彼は、ベッドに座っていた私の横にドスっと腰掛けると、疲れたように深く息を漏らす。
篤「あー、まじ緊張した。笑」
「緊張してたの?」
篤「するでしょ、普通に。」
"試合より緊張するわー"と寝そべった彼は、"てか試合の時は緊張しないんだけどね、俺"と付け加える。
小さく深呼吸していた彼、
いつもよりピンと伸びた背筋、
いましているその格好も相俟ってか、普段はあまり見れない彼の姿を思い出し、頬はだんだんと緩んでいく。
「お疲れさま。」
篤「どうも。」
「あと、ありがとう。」
篤「あ?」
「お父さんとお母さんに言ってくれたこと、凄く嬉しかった。」
篤「ふっ、なに?笑」
そっぽを向いて笑う彼は、"あーあ"とわざとらしく大きなあくびをして、
乾いた髪から赤くなった耳を覗かせる彼の隣に寝転び、大きな背中をギュッと抱きしめる。
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laiz(プロフ) - りんごさん» あんなことを言ってくれたら、両親も安心ですよね(*^^*)さが内田さんです(^^)私もこの二人の空気感が気に入っているので、書いていてたのしいんです^ ^このお話まだまだ続きますので、これからも是非見守っていて下さい! (2013年10月23日 19時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 両親への挨拶の所、内田さんステキすぎてまたまた泣いてしまいました(;_;)このお話しほんと大好きです!ずっとこの二人を見ていたいなって思っちゃいます(^^♪ (2013年10月21日 20時) (レス) id: 842b9c30a7 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - neneさん» こちらこそ、いつも素敵なお言葉をありがとうございます(*^^*)内田さんのおかげで主人公もやっと前に進むことが出来ました(^^)この後もどんどん絆を深めていってほしいですね^ ^この後続編更新致しますので、またそちらでもよろしくお願いします! (2013年10月21日 19時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - ななさん» こんばんは!後半はキュンキュン、ニヤニヤを詰め込んでみました(^^)問題を解決した後の二人はどうなりますかね^ ^ななさんのおっしゃる通り、また新たな問題もあるのでしょうか…(^^)この後続編更新致しますので、またそちらでもお力を貸して頂けたら嬉しいです! (2013年10月21日 19時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
laiz(プロフ) - samiiさん» またまたコメントありがとうございます(*^^*)更新が中々スムーズじゃなく申し訳ないです(>_<)このペースからは落とさないように頑張りますね!内田さんの最近の安定ぶりは凄いですよね(^^)私もそう思うと複雑です。笑"お待たせしました!この後続編更新します! (2013年10月21日 19時) (レス) id: e2e17d63f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:laiz | 作成日時:2013年9月21日 19時