第57話 ページ10
「_____っていうことがあって。」
ふぅ、と一息私はつく。ここまで、姫花ちゃんのことを伏せて話せることは全て話したつもり。でも、彼らがどんな顔をして聞いているのか見るのが怖くて、ここまでろくに彼らの顔も見ず、口も閉じずに私が一方的に話した。
私の口が閉じた後も中々話しかけられることもなく、ただただ彼らは黙っていた。どうしたのか、と気になり恐る恐る顔を上げてみるとバチっと乙夜くんと視線が合う。
「なるほどな。非凡をいじめてる奴がおるっちゅーことか。」
「そやなぁ。同意はしたくないけど、今回ばかりは烏に同意やな。」
「俺もー。どこのどいつが可愛い女の子いじめてんだか。」
私と乙夜くんの視線があって間も無く、そんな会話が繰り広げられた。烏くんが、私にそういうことだろう、と同意を求めてきていたのでここは素直に頷く。誰かまではわかってないはずだから。
「なぁ、非凡。本当は誰がやったかわかってるんやろ。」
「え、?」
烏くんのその言葉に驚く私を置いて、烏くんは口を開き続けた。
「非凡のことや。相手に迷惑かけたくないとか考えて言わないだけやろ。」
私が何も答えられずにいると、それを烏くんは肯定と受け取ったのか、さらに続けていった。
「別に俺らに言わなくてもええけどな、話が通じるんだったら、本人確認でもええから聞いてみ?違ったら違ったでええやんか。守ってくれる人は多い方がええ。」
「ちょ、烏。まだ決まった訳やないんだから。Aちゃんも無理せんくてええよ。言えないのは悪いことじゃないからな。」
困惑している私を見てか、氷織くんがそう言ってくれる。
乙夜くんはその隣で言葉を発せずに、頷いていた。烏くんの言葉にか、氷織くんの言葉どちらに頷いていたかは分からなかったけれど。
彼らに相談したおかげか、少しばかり心が軽くなったような感じがしてくる。それに、烏くんのおかげでなんとなく姫花ちゃんと話をしてみる気にもなった。私の勘違いでもいいから、一度姫花ちゃんと話をしてみよう。チームZの最終戦の時に言われた言葉の真意も一緒に。
「みんな、ありがとう。話してみることにする、!」
「ほんま?無理はダメやかんな。」
心配してくれてる氷織くんの言葉に頷き、私は姫花ちゃんの所へと足を動かそうとする。すると後ろから、
「何かあったらすぐに言ってねー。可愛い子の話なら大歓迎。」
という乙夜くんの声が聞こえた。それに背中を押されたように、私の歩みは早くなっていた。
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作者名:そっち | 作成日時:2024年2月11日 11時