第53話 ページ6
ピーッ
フィールド内に試合終了のホイッスルと、潔くんが喜ぶ声が鳴り響く。潔くんは最後の最後に劇的なゴールを決めたのだ。
「Aちゃん、試合凄かったね〜!」
「ね、サッカーってこんな面白いんだって、初めて知ったかも。」
ここに来て何度か、サッカーを見てきたけれどようやくサッカーの面白さがわかってきたような気がする。
「うんうん!サッカーって本当面白いんだよっ!!だから私も、彼らの役に立ちたい。夢を、叶えたいんだっ!」
そう言った姫花ちゃんの目はまっすぐ前だけを見ていた。
その時の姫花ちゃんの眼差しはいつも通りで、先ほどの様子が私が見た幻のように思えてきてしまう。
「そっか!頑張ってね!」
うん、と姫花ちゃんは元気に頷く。ちょうどその頃みんなが私たちの近くまでやってくる。姫花ちゃんはそれに気づくと、すぐにその可愛らしい笑みを選手たちに向ける。
「みんな、お疲れ様〜!これ、スポドリねっ!!」
「サンキュ、助かる。」
姫花ちゃんの言葉に國神くんがそう答える。
姫花ちゃんは嬉しそうに笑う。
「チームVのみんなもお疲れ様。惜しかったね。」
私は、チームVの選手のみんなに声をかける。
大活躍だった凪くんはもうすでにいつも通りに戻っていて、
「A疲れたー。おんぶしてー。」
なんて言っている。
「無理だよ。私と凪くんどれくらい身長差あると思ってるの?」
「そういえば、Aちっちゃいよね。」
「悪かったねっ!!てか、凪くんが大きすぎるんだよ!!」
ナチュラルに断ってみれば、チビ扱いされて否定する。凪くんが大きすぎて、そう見えるだけ。きっとそうだ。そうであってほしい。
玲王くんはそれを見て笑いながら、「そうかもな。」なんて言っている。
私とチームVのメンバーの間に和やかな雰囲気が流れる中、私の背後から声をかけられる。
「ねぇー!A、ご褒美ー!!」
と。それを聞いて、そういえば、と思い出す。勝った方にご褒美をあげると約束してたような。
「そうだったね、ジャンケンで勝った人だっけ?」
その言葉にみんな頷く。
「はいはーい。じゃあ、みんな集まって〜。」
私がそういえばゾロゾロと私の周りに人が集まる。
チームZが全員いるかを確認してから、ジャンケンを始める。ちなみに、退場した久遠くんは雷市くんが連れてきてくれた。
「せーの!最初はグーじゃんけんぽんっ!」
合図によって出された手を各々見ていく。
「あ、俺勝った。」
少し経った頃、私の隣からそう声がした。
200人がお気に入り
「ブルーロック」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そっち | 作成日時:2024年2月11日 11時