第67話 ページ20
「Aちゃんといると私はドンドン醜くなってくっ!!愛されないなら、私が存在する意味なんてないじゃない!!それ以外、取り柄なんてないんだから…っ!」
姫花ちゃんがその言葉を言った時。私は感じてしまった。彼女は“私”なのだと。転生する前の、前世の“私”なのだと。
小さい頃から顔が良くて、周りからチヤホヤされて。愛される喜びを知って。この先もずっと愛され続けると信じて。だけどそんなことはなくて。成長するにつれて、“愛されている”そう感じる瞬間は減っていく。それでもやっぱり愛されたいから、自分を偽る。
外面だけじゃなくて、内面も磨く。愛想をよくして、性格もよく。勉強も運動も頑張って。できる限り“完璧”に。そうすれば“愛”を感じることができた。
______ヒロインが現れるまでは。
ヒロインが現れることで、全て変わる。どんなに頑張っても、結局愛されるのはヒロインなのだ。
どんなに性格がいいふうに偽っても。愛想をよくしても。全て、ヒロインには敵わない。だから、そんなヒロインに嫉妬して。そんな嫉妬している自分が嫌になって、惨めになる。そんな自分のことが嫌いになる。そして、段々と視野が狭くなっていく。“愛されること”、それが全てのように感じてしまう。実際はそんなことないのに。だから、どうすればいいのか分からなくなって、嫉妬に狂ってしまう。
そして、結局最後は自分が愛されていることにさえ気づくことができずに、消えてしまう。
前世の私はそんなものだった。そして、今の彼女もきっとそう。前世の私のように周りから十分愛されていたのに。それに気づくことができない。
彼女の気持ちが痛いほどわかってしまう私は、彼女に声をかけることはできない。かける資格なんてない。彼女をここまで追い詰めたのは誰でもない、この“私”なのだから。私が何を言ってもそれはきっと彼女には綺麗事に聞こえてしまう。
それでも、もしまだ私の声が届くならば。私は彼女に伝えなきゃいけない。
と。
でも、今の姫花ちゃんの精神状況じゃ私の声は届かないから。だから君たちが、姫花ちゃんに想いを伝えてあげて。
いつも言えずに思っていることを。どうして、彼女とあまり関わらなかったのか。あなた達の中で、彼女がどれほど大切な人になっているのかを______。
人任せになってしまうけれど。
頼んだよ。
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作者名:そっち | 作成日時:2024年2月11日 11時