第66話 ページ19
「姫花…?嘘だろ?」
期待を裏切られ、世一くんが動揺しながらそう姫花ちゃんに声をかけた。
「ハハ…。嘘だったらどんなによかったか…!!私だって信じたかった。私が愛される運命でヒロインだって…!でも、現実はそうじゃなかったっ!!」
姫花ちゃんのその発言に私は違和感を覚える。だって、姫花ちゃんはヒロインのはずでしょう…?周りから愛されているはずで。彼女が愛されてない、ヒロインじゃないはずなんてなくて。
「そんなことないよ、姫花ちゃん。姫花ちゃんは、愛されてるよ…!!」
姫花ちゃんがどこでそう思ったのかはわからない。でも愛されている事実に気づいて欲しくて。そう訴える。少しでも、姫花ちゃんが分かってくれますように、そう願って。
パチンっ!
そんな、乾いた音が私たちが廊下に響く。その音が響くと同時に私の視線は横を向いて、頬が痛くなる。
「え、?」
状況を掴めないでいる私からそんな声が出る。
「姫花、何してんだよっ!!」
そう声を荒げる千切くん。
そこで我に返り、私が姫花ちゃんから平手打ちを喰らったことに気づく。それに気づいたところで、私にはどうしようもできなくて。ただ姫花ちゃんの方を見ることしかできなかった。
「うるさいっ!!だっておかしいじゃん!?私はAちゃんよりも何倍も、何百倍も頑張って、努力して…!!」
「スキンケアも、ヘアケアも体重管理も完璧にして。周りから好かれるように、笑顔を振り向いて。どんなに疲れててもみんなのためになることなら一生懸命やった…!!」
「姫花ちゃん…。」
誰にも聞こえないほどの声量で、私の口からそう声が出る。本当に誰にも聞こえなかったのだろう。みんなの視線は私も含めて、いまだに姫花ちゃんに釘付けだった。
「全部、全部、みんなから“ありがとう”って、感謝されたくて…!愛されたくてっ!!なのにさぁ…。なんでAちゃんなのかなぁ…。」
「それに、それにさ…。分かってるんだよ…?私の何がいけないか。」
それだけ言って姫花ちゃんは言葉を止めてしまう。私も、みんなも何もできずただただ私たちの間に気まずい空気が流れる。その沈黙を破ったのも、姫花ちゃんだった。そして、今まで溜め込んできたことが再び溢れ出るかのように、涙を流しながら再び声を荒げて、口を開き始めた。彼女が放つ言葉は、言うたびに私の心に深く突き刺さっていった。
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作者名:そっち | 作成日時:2024年2月11日 11時