【ブルーロック】悪女だった私は今＿＿。II (ページ18)

今日:69 hit、昨日:199 hit、合計:12,728 hit

第65話ページ18

「え、？何、言ってるの…？」

先ほどの彼の言葉。凪くんの言葉に、姫花ちゃんが困惑しながらそう言う。凪くんは普段と変わらない様子で、周りの視線が自分に集まっている意味がわかっていないようだった。

「え？だって、Aそんなことする人じゃないでしょ。玲王もそう思うでしょ？」
「あぁ、まぁ、それもそうだな。Aそんなことしねぇ。つっても、俺のイメージの中でだけど。」

凪くんにそう問いかけられた玲王くんはそう言った。そんな言葉に私の心は少しだけ救われた気がした。私のことを一方的に疑うのではなく、信じようとしてくれる人がいる。その事実がただただ嬉しかった＿＿＿＿。

「…っ！！でも、私はっ！カッターで本当に…っ！」
姫花ちゃんはそれでも必死に訴える。

「Aはそんなことしない！！絶対に！！」
「だな。玲王たちが言ったからみたいに思われるかもだけど俺もAがそんなことするとは思えない。」
姫花ちゃんの必死の訴えは無駄のことかのように、廻や千切くん、他にもたくさんの人がそう言ったり、彼らの言葉に頷いたりしてくれる。
「みんな…。」
私の口から気付かぬうちに、そんな言葉が出てくる。でも、それは誰にも聞こえないほど小さな声で、聞かれないまま空気に溶けていく。

「A、僕もAがやったとは思えん。本当のこと言うてくれや。やったんか…？」

氷織くんが覚悟を決めたかのように、私の目をしっかりと見て聞いてくれる。

「私、は…。」

「やってない…。姫花ちゃんのこと嫌いだなんて思ってない。私は！姫花ちゃんのこと友達だと思ってるし、大切な友達にそんなことしない…！！」

一呼吸置いてから、私は覚悟を決めてそういう。私の言葉に、彼らは優しく微笑んで、頷いてくれる。そして、姫花ちゃんの方へ視線を向ける。彼女に、姫花ちゃんに真実を話すよう訴えかけるように。その視線の中には少しだけ、ほんの少しだけ、“姫花ちゃんが嘘をつくわけない。”そんな希望と信頼が込められているようにも感じられた。

「…んで…。なんで、Aちゃんなの！？」

そんな彼らの、淡い希望を裏切るかのように、姫花ちゃんはそう叫ぶように言った。彼女の視線の先には私が居て。向けられてる視線は“怒り”のようなものが溢れてるように感じられた。