第49話 ページ2
チームZとチームVの試合は始まってすぐ、チームVの凪くんが華麗にシュートを決めた。
それに続くように、チームVに得点が入っていく。
その度に、チームZの空気は悪い方へ流れていって。
ちょうどチームVに3点目が入った時、
チームZが絶望する中、廻はただ小さい子供のように目を輝かせて、
「いいね!いいね!楽しくなってきた♪」
と、言い放つ。
その言葉に潔くんが驚いても、それでも廻はやっぱり楽しそうにするだけだった。そして、彼はボールを蹴り出す。
「こっちもスーパースペシャルになればいい!」
と、言って。
「ねぇ、Aちゃん。今この試合中に言うことじゃないけどさ。」
廻がプレーを再開させて1点を決め、チームZが喜んでいた時。ふと、そう姫花ちゃんに話しかけられる。
「ん?どうしたの?」
姫花ちゃんは少し悩んだ末、再び口を開いた。
「今日、ちゃんと午前分の仕事終わらせた?あ、疑ってるわけじゃないんだけど…!」
「え?終わらせたはずだけど…。」
サボってる、とでも思わせたのだろうか。でも私はちゃんとやったはずだ。
「本当…?干し終わった洗濯物、畳まれてなかったよ…?」
「え、?」
予想外の言葉に、私の方からは言葉が出てこない。確かに今日の朝畳んだはずなのに。全くもって心当たりがなく、ただ困惑してる私を見て姫花ちゃんは続けた。
「ここに来るときにチラッて見れただけだから、見間違いかもしれないけど…!でも、もしそれが本当ならAちゃん。」
先程まで笑顔だった姫花ちゃんは真剣な顔になって続けた。
「選手のみんなと仲良くするのは少し控えた方がいいと思う。彼らと話して仕事が疎かになるのなら…!」
「…!」
そう言った時の姫花ちゃんの目がいつも見るのより冷たいものに見えて言葉が出てこなくなる。
姫花ちゃんはそれに気づくと、私の目を覗き込んで名前を呼ぶ。
「Aちゃん?」
「あ、ううん!私畳んだつもりだったんだけど、何かの振動か何かで崩れちゃったのかも。でも、気をつけるね。」
姫花ちゃんは頷き、フィールドの方に目線を移した。私は姫花ちゃんが視線を移した後も、言われたことを考える。今私は姫花ちゃんきら遠回しに選手に近づくなと言われたのだろうか…?なぜ?ヒロインは、愛されてるのは彼女なのに?
ピーッ
私の考えを止めさせるように、部屋には前半終了のホイッスルが鳴り響いていた。
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作者名:そっち | 作成日時:2024年2月11日 11時