【ブルーロック】悪女だった私は今＿＿。 (ページ44)

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第42話ページ44

「千切くん、結局どーなったんだろ。」
私はポツリと私以外誰もいない食堂に呟く。
昨日大丈夫だと思っていたものの、一様気になってはいる。

「俺がなんだって？」
「うわっ！！」
ボーッとしながら、机を拭いていれば後ろからそう言われて思い切り声が出てしまう。
「そんな驚くかよ。」
千切くんはそんな私を見て笑う。
その笑顔に、昨日大丈夫だったんだろうと予測する。
「千切くん、もしかして今からご飯？私も一緒にいい？」
「別にいいけど。」
「ありがとー！」

千切くんは、すでに野菜炒めを持っていたので、私は急いで自分のを取りに行き、千切くんの前に座る。
千切くんの前に座り、改めて彼の顔を見てみるととてつもなくお強い顔が目の前にあり、中々直視することができない。だから、私が目のやり場に困っていると千切くんが、
「ぷは！何してんの？」
と笑いながら言った。

「いや、顔がお強くて。目のやり場に困ってた。」
私がそう言えば、彼はさらに笑う。
ひとしきり笑い合えたのか、彼は箸を手に持ちご飯を食べ始める。私もそれを見て、同じ様に食べ始める。

しばらく、私たち2人が食器を動かす音だけが食堂に響いていた。それを破る様に、千切くんが私に話しかけた。

「なんか言わねぇの？」
と。
その言葉の意味がわからず、私が困惑していると千切くんはそのまま続けた。
「昨日、俺の話聞いたろ？普通だったら何か言うだろ。」
「あー。私サッカーまだよくわかんないもん。てか、千切くんのこともそんな知らないしね。」
「は？」
私の回答に今度は千切くんが驚いていた。
立場逆転だな、と思って少し笑いそうになるも冷静を装って私は続ける。

「だって、私と姫花ちゃんがここにきてまだ3週間ぐらいだよ？そんな千切くんのこと全部わかるわけないじゃん？」
「……。」
私のその言葉を千切くんは黙って聞いていた。私の話の続きをただ待つように。

「それにもし、私が千切くんのことを全部知ってても私は多分千切くんに何も言わないと思う。」
「なんで？」
私は持ってきていた水を少し口に含んでから続ける。
「だって、同情になっちゃうじゃん。同情なんて、されたくないでしょ？」
「まぁな。そんなこと言うのAが初めてだ。」
「そう？」
千切くんは首を縦に振る。
その時の彼は少しだけ寂しそうに笑っていた。

「大丈夫だよ。千切くんは強いから。」
そんな千切くんを見ていたからか考えるより前に私の口からそんな言葉が出ていた。